ギリシャはユーロ離脱か残留か、繰り返される危機


 ギリシャがユーロ圏にとどまるのか、離脱するのか、6月17日のギリシャ再選挙が焦点になっている。

世論調査ではギリシャ国民の8割はユーロ離脱を望んではいないが、離脱による市場の影響を恐れる、EU(欧州連合)・ECB(欧州中央銀行)・IMF(国際通貨基金)のトロイカ体制から、財政緊縮を緩める譲歩を引き出そうとしている。対して、支援に際しては最も負担の大きいドイツは離脱を恐れない姿勢を見せて応酬している形だ。

5月18~19日のG8(主要8カ国首脳会議)では、オバマ米大統領と就任したてのオランド仏大統領は、「成長と雇用創出のための行動が必要だ」と主張し、メルケル独首相に姿勢の軟化を求めた。一方、財政緊縮策の実行を強く求めるメルケル首相は、「成長と債務削減は両立可能」と妥協しなかった。メルケル首相は、ギリシャのパプリアス大統領に対して、ユーロ圏離脱の是非を問う国民投票を提案するなど、強硬な姿勢を維持している。5月24日の非公式のEU首脳会談でも成果は上がらなかった。

支援が債務を膨らませる

政治的な駆け引きの裏側で、危機は着実に進行している。

単一市場のユーロ圏には、貿易・資本取引のための銀行間の資金決済をスムーズに行うため、ECBと各国中央銀行で作ったTARGET2と呼ばれる決済システムが構築されている。国境を越える民間銀行の口座間での資金のやり取りは、各国の中央銀行の口座を通じて行われる。

民間銀行の債権債務は日次で清算されるので、これらの国の中央銀行は自国の民間銀行から担保を取って必要な決済資金の貸し付けを行う。しかし、中央銀行はTARGET2のシステムに債権債務を累積させることが可能な仕組みになっている。

経済が正常なとき、輸出立国のドイツやオランダには、南欧諸国から貿易の決済資金が流れ込む一方、金利の高い南欧諸国には投資資金が流れることで、資金決済はバランスしてきた。ところが、ユーロ圏内で相対的に国家財政の悪いポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン(いわゆるPIIGS)の調達金利がハネ上がり、債務危機に発展、こうした国々からの資金逃避の動きが広がってきた。


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