来年度予算案の防衛関係費は初の9兆円台に、安保3文書改定で27年度以降も拡大
政府が26日に閣議決定した2026年度予算案で、防衛関係費は過去最大の9兆353億円となった。高市早苗政権は今後5年間の予算規模も定める安全保障関連3文書を前倒しで改定する方針を示しており、27年度以降も拡大する見通しだ。
9兆円を超えるのは初めて。米軍再編関係経費等を含めた防衛関係費は前年の8兆7005億円から3.8%増額した。岸田文雄政権下の22年に定めた防衛力整備計画では、23年度から27年度の5年間で約43兆円の防衛費を確保する方針を決めた。
同計画実施のために新たに必要となる事業の契約額は43兆5000億円としているが、4年目に当たる26年度予算案分までで、約81%を措置した。
高市政権は26年中に3文書を改定する。最上位文書である国家安全保障戦略では、防衛関係費と海上保安庁経費などを合わせた関連費の単年度の予算水準を27年度に国内総生産(GDP)比2%まで引き上げる方針を明記していたが、高市政権は25年度に前倒しで達成した。改定作業では新たな目標の設定が焦点となる。
同戦略は22年度の名目GDP560.2兆円を基準に安保関連費のGDP比を計算している。物価上昇や経済成長を受けて名目GDPは26年度に691.9兆円に達すると内閣府は予想しており、GDP比2%の達成に必要な予算額は、単純計算で約11兆円から約14兆円に上振れる。
各国に負担増を求める米国の意向も防衛関係費の拡充を加速させる可能性がある。ヘグセス国防長官は5月末、日本を含めたアジアの同盟国に対し、対GDP比5%に向け引き上げるよう、シンガポールでの演説で要求した。
円安
予算案では、ドローンなどを含む無人装備に過去3年の水準に比べて約2倍となる2773億円(契約ベース)を配分した。
敵部隊の射程外から攻撃するスタンド・オフ防衛能力には9733億円を配分した。うち301億円を音速の5倍以上で飛行し迎撃を困難にする極超音速誘導弾や地上装置の取得に充てる。
人的基盤の強化には5814億円を計上し、自衛官の処遇改善や生活・勤務環境の改善に充てる。
為替レートは1ドル=149円を想定する。円安進行により、24年度から26年度にかけて新型護衛艦(FFM)の調達費用が870億円から1040億円に、主力戦闘機F35Aの同費用が140億円から187億円に上振れた。
著者:照喜納明美
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