「違和感しかない」「死者への冒涜だ」 人気番組で《みのもんたさんがAIでよみがえる》感動演出も、"AI復活"がここまで嫌悪されるワケ

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技術がさらに進化して、映像、音声の技術の再現力が高まっていくと、人々は「AIに騙されている」という感情をより抱くようになるだろう。

AIで人間のコピーを創作することに対して、専門家はさまざまな倫理上の問題を指摘している。これまでに述べてきたこと以外に、受け手が本物と誤認する恐れ、肖像権、人格権、パブリシティ権などの法的な問題もある。

技術が進化してオリジナルに近づくことによって、こうした問題はより深刻化していくと考えられる。

「本物に似せる」だけでは不十分

みのもんたさんの件に話を戻そう。元日の「クイズ$ミリオネア」がどういう内容になるのかはわからないが、これまでの議論を踏まえると、視聴者から「AIみのものんた」が受容されるには、番組の中身に加えて、以下の4点が必要になるだろう。

1. 故人に対するリスペクト
2. 遺族や関係者の合意
3. 視聴者への十分な説明(上記の2点の周知)
4. 聴者の誤認を招かない配慮

AIの活用によって、新しい表現の可能性が広がることは間違いないだろうし、コスト、時間、手間も軽減されようになるだろう。ただ、人々に受け入れてもらうためには、実写映像以上の配慮が必要になる。AIであるからこそ、人間的な配慮や対応がより強く求められるようになるのだ。

いずれそうしたこともAIによって対応できるようになるのかもしれない。しかし、現時点では、まだ人間が対応せざるをえないようだし、それこそが人間が優位性を示せている領域でもある。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞、東洋経済オンラインアワード2025」MVP賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。 日本広告学会評議員、クリエイティブ委員会副委員長。 著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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