「違和感しかない」「死者への冒涜だ」 人気番組で《みのもんたさんがAIでよみがえる》感動演出も、"AI復活"がここまで嫌悪されるワケ
あくまでも、技術は裏側にあるべきもので、「最先端技術を駆使して、こんなにすごい映像を作りました」といったアピールをされると、逆に視聴者からは反発を招いてしまっただろう。
なかなか拭えない「AIへの根源的な拒絶感」
人物に限らず、AIで作られた創作物に対して毎回出てくる反発の声に「人間味がない」「人工的」というものがある。
AIでの美空ひばりさんの紅白出演の際にも、視聴者のみならず、ひばりさんを知る芸能関係者からも同様の声が出ていた。
このような反応を示すのは日本人だけでなく、世界共通の現象のようだ。
23年にビートルズの「最後の新曲」として「Now and Then」という楽曲がリリースされた。
この曲は、故ジョン・レノンさんが1970年に残したデモ音源からポール・マッカートニーさんとリンゴ・スターさんがAI技術を活用して仕上げたものだ。本作は大きな話題を呼び、54年ぶりの全英シングルチャート1位を獲得している。
しかしながら、この曲がビートルズの“正規の作品”として親しまれ続けることになるかというと、疑問が残る。
メンバー4人全員が同時代に現実世界で集まって一緒に演奏する――というところまでいって、はじめて「ビートルズの作品」として成立するだろうが、それは死者を蘇らせなければならず不可能だ。
では、AIが進化して、人間が区別できないほどハイレベルな作品が作られるようになれば受け入れられるかというと、そうとも言えないだろう。
映像や音声のクオリティーとは関係なく、「AIで作られたニセモノ」という事実自体が、本物と区別される最大の要素となっている。高級ブランドの「ニセモノ」がいくら精巧に作られても本物になれないのと同じことが、AIを使った創作物にも当てはまる。
人々にとって重要なのは、創作物のクオリティよりも、それが生み出されるに至る「ストーリー」のほうなのだ。


















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