「違和感しかない」「死者への冒涜だ」 人気番組で《みのもんたさんがAIでよみがえる》感動演出も、"AI復活"がここまで嫌悪されるワケ

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AIで人間を再現すること自体に、人々の生理的な反発を招いてしまう要因があり、こうした反応が出てくるのではないかと考えられる。

一方で、批判を浴びるケースばかりではないのも、また事実だ。

「松田優作」のAI化が批判されなかった理由

たとえば、シャープのスマートフォン「AQUOS」は、24年にAIや3D・CG技術を駆使し、俳優の故・松田優作さんを復活させ、ブランドアンバサダーに就任させるという企画を行ったが、こちらは賞賛の声が目立った。

AIで故人を復活させた際に、以下の2つの疑問が必ず出てくる。

・本人がAIで蘇ることを、はたして望んでいたのか?
・遺族や近親者の理解は得られているのか?

今回のみのもんたさんの件でも、主要な批判の論点はこの2点だった。

前者については、本人が亡くなっている以上、もはや確認するすべはないのだが、少なくとも「故人をリスペクトしている」と人々に思ってもらうことは必要となる。

AQUOSについては、松田優作さんの妻であった松田美由紀氏が監修として参加し、出来上がった人物像についても、美由紀さんのお墨付きを得ている。当人に最も近い人物が直接関わっている以上、第三者が「死者への冒涜だ」「リアリティがない」といった批判をしづらくなるだろう。

松田優作さんはアクションスターでもあったが、再現された映像は動きが少なく、しかも白黒だった。技術的には洗練されていてリアリティはあるが、生々しくはない、自然な映像表現になっていた。

多くの人から受容された背景には、抑制された表現の巧みさもあったように思う。

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