Onシューズが日本人気を獲得した訳、「今まで"痛くないシューズ"はなかった」……素材でなく"構造"で「足が勝手に前へ転がる」世界特許の中身

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着地で“潰れ”、蹴り出しで“戻る”——その動きが推進力になることを自らの足で確かめた瞬間、オン独自の発想が形を持ち始める。

この“身体感覚から発想する”開発姿勢は、今もオンのプロダクト文化の中心に息づいている。

シューズ
(撮影:長田慶)

オンを象徴する空洞構造「CloudTec」は、着地の衝撃で“潰れ”、踏み出す瞬間に“戻る”ことで反発力を生む。

一般的なクッションシューズが、柔らかい素材を積層することで衝撃吸収を実現するのに対し、オンは構造そのものに機能を持たせるという逆転の発想を採用した。

北井さんはそうした技術思想をこう説明する。

「どの方向から着地しても衝撃を吸収し、自然に戻る。その積み重ねが“歩いても走っても楽”という感覚につながっています」

CloudTecが生み出すのは単なる“軽さ”ではなく、軽さ・反発・耐久性がバランスよく成立する独特の歩行感である。結果としてオンのシューズは、「足が勝手に前へ転がるような感覚」をつくり出すことに成功している。

疲れにくさは“単一機能”ではなく“総合設計”の成果

シューズ
オンの「疲れにくさ」は、特定のパーツで語れる種類のものではない(撮影:長田慶)
・ソール構造
・反発とクッションのバランス
・アッパー素材の柔軟性
・紐を結ばずに履ける着脱性
・足を締めつけないフィット感

これら多層的な要素が相互に作用し、結果として「脱ぎたい瞬間がこないシューズ」を実現している。言い換えれば、オンの快適性は“足元のストレスを限りなくゼロに近づける”総合設計だ。

北井健人さん
(撮影:長田慶)
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