慶應のMBAは、海外MBAのようなケーススタディを用いたグループワークが中心だった。大学時代に外資系コンサルティングファーム出身の教授のゼミで鍛えられた小杉さんにとって、グループワークそのものは何も問題なかった。しかし、議論で発言を求められる際に、明確に自身の経験不足を感じたという。
「私のクラスには40代で企業のマネジメント層の方もいらっしゃったので、ちょっとした意見にも深い経験に基づいたアイデアがポンポンと出てくるような環境でした。でも、私は社会人を2年しか経験していないひよっこで、現場での経験に基づいた意見を出すことはできませんでした」
大学時代にゼミでコンサルのクライアントワークを経験したり、社会人になってからSaaSの営業を経験したりと、小杉さんにもそれなりの知見や経験はあっただろう。しかし、大学院に来る海千山千のベテランビジネスマンに比べると、どうしても経験不足は否めなかった。
「でも、授業では発言の回数も成績評価の対象だったので、意見を思いついていなくても手を挙げて、当てられてから意見を考えたりしていました(笑)」
どんなに大変でも諦めなかった理由は…
また、授業に出席するための準備でも、小杉さんは大いに苦しめられていた。
「慶應のMBAの授業は、1コマ3時間の授業が午前と午後に入っていて、各授業の予習に3時間はかけないと授業についていけないと言われているんです。なので、授業とは別に毎日6時間の予習をする必要があって、本当に勉強漬けの日々を過ごしていたと思います」
座学形式の授業であれば最悪、講師に意見を求められなければ予習なしでもやり過ごせるかもしれない。だが、ケーススタディのグループワークではそうはいかない。
こんな日々がMBA取得まで続くことを考えれば、まさに「修行」という言葉がぴったりだろう。なかには、そのハードさに心が折れて、途中で諦めてしまう人もいるかもしれない。
それでも小杉さんが受講を続けられたのはなぜなのか。


















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