「ダンナを置いて1人で移住」50代女子が暮らす瀬戸内海の離島――ヤギを飼いパンを焼き古民家で暮らす…くらたまが見た"理想のシニアライフ"

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海風を堪能したあと、私たちはそのまま連れ立って道を隔てたすぐ先にある海へ出て砂浜の上を歩いたり、海辺の道を歩いたりしました。

テトラポットの上に時折どっさりと土のようなものが積んであり、

「これは何ですか」

とカツ子さんに聞くと、

「ああそれ。たぬきのフンよ」

というお答え。

「たぬきって決まったところでフンをするんよ。テトラポットの上はお気に入りみたいやね」

へー! 知らなかった豆知識。言われてみれば、土のように見えるけど、木の実の殻などがたくさん混ざっていました。

この島は人口約600人、たぬきもいればイノシシもいるそうです。ミカンが聞いたところによると、何十年か前に本土で山火事があった時に、泳ぎ着いた個体たちが増えたとのこと。

でも、佐木島のイノシシはみかんを食べて肉がおいしいそうなので、いつか私も食べることができないかなあと夢想しました。

イノシシ年の私はイノシシをかわいいと思いますが、同時においしいとも思っています。ちなみに、今までの人生で食べた肉の中で一番おいしいと感じたのは、10年ほど前福岡のとある地方のお祭りで食べたイノシシの骨付き肉の炭火焼きです。

一通り海のそばを散策したあと、カツ子さんの運転で島をぐるりと回ります。

初めてのレモン狩り

「雑草を食べてもらうために島民何人かで飼ったけど、みかんなど農作物の葉まで食べてしまうため、今は愛玩用として飼われている羊」を見たあと、カツ子さんのうちの畑で、みかん狩りとレモン狩りを体験させていただくことになりました。

みかん狩りはしたことがあったけど、レモン狩りは初めてです。

「あっ、キジだ!」

みかん畑に到着し車を出て歩いていると、飛び立つ雄キジを見つけて思わず声をあげました。一瞬のことなので写真に収めたりは到底できませんでしたが、キジのような大きくてきれいな野生の鳥に出会うのは、都会生活に慣れてしまった私にはインパクトがある出来事でした。

その後、みかんをどっさり採って次はレモン畑に向かいました。

「レモンは大きいのを採ってね」とカツ子さんに言われ、大きなレモンを探してヘタの上の枝をはさみで切ります。都内の店では見たことがないほどの大きさです! 皮も分厚くて硬く、搾るのは大変そうです。

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