そもそも、冬、寒くなるとトイレが近くなるのは「寒冷利尿」という生理現象が原因です。寒さで血管がギュッと収縮すると、体内の余分な水分を尿として排出しようとする働きが高まります。それで、膀胱に尿がたまりやすくなり、いつもよりおしっこが近くなるのです。
さらに、おしっこが近くなるのには、腎機能が低下してきている可能性も考えられます。
腎機能が低下してくると、尿を濃縮させる機能も落ちてきます。尿を濃縮させる力が落ちるということは、イコール尿の量が増えるということ。これによって膀胱に尿がたまりやすくなり、頻尿気味になって、トイレに何度も何度も足を運ぶようなハメになるわけです。
ただ、腎機能低下からくる頻尿には、水分摂取量はあまり関係ないと思ってください。たとえ、水を飲まないように気をつけていたとしても、尿の濃縮力が落ちてくれば尿量は多くなってトイレが近くなります。つまり、腎機能低下によって尿の濃縮力が落ちている場合、トイレに行く回数を減らそうとして水分摂取を控えるのはたいして意味がないことなのです。
トイレの回数を増やすほうが膀胱炎予防になる
また、冬、仕事などが忙しいときにトイレを我慢するのもよくありません。
普段からトイレを我慢していると膀胱炎のリスクが高まります。膀胱炎は、尿道から侵入した細菌が膀胱の中で増殖して炎症を引き起こす病気です。頻尿、残尿感、排尿痛、血尿などの症状が現われ、細菌が腎臓近くまで侵入すると腎盂腎炎を引き起こす可能性もあります。
とりわけ、女性は尿道が短いために膀胱炎にかかりやすく、何度も繰り返している人も多いので、尿意を我慢するのは禁物だと心得てください。尿意を感じたらすぐにトイレに向かい、細菌を押し流すようなつもりで勢いよく排尿するのを習慣づけることをおすすめします。
さらに、水分摂取に関しては、「トイレに行く回数を減らすために水分を控える」のではなく、逆に、「小まめな水分補給を心がけてトイレの回数を増やす」ほうがいいでしょう。そのほうが菌が入りにくく、膀胱炎の予防につながるのです。
そして、そういった「トイレを我慢しない」「しっかり水分を摂取する」という習慣づけは、腎機能の低下を防ぎ、腎臓寿命を延ばすことにつながるということも心得ておいてください。


















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