「今の日本には贅沢品」「中国に利益がいくだけ」「かわいい動物はいっぱいいる」 パンダ返還で盛り上がる《パンダ不要論》が意外と"ド正論"のワケ

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少なくとも日中関係の緊張状態が改善しなければ再貸与は難しく、「少なくとも数年かかる」とみるのが自然でしょう。

高市早苗首相の台湾有事をめぐる発言に対する中国の対応に不満を持つ人は多く、それがパンダ不要論のベースになっていることもあって、政府としても身動きが取りにくい状況に見えます。

シャンシャン
パンダブームの立役者だったシャンシャン。現在は中国四川省の「中国ジャイアントパンダ保護研究センター」で暮らしている。写真は赤ちゃんだった頃の様子(写真:digi009/PIXTA)

パンダは本当に絶滅の危機なのか

最後にパンダそのものについても言及しておきましょう。

「中国に野生のパンダは約1900頭いて、それ以外にも飼育されているパンダが700~800頭いる」といわれ、増加傾向にあるとのこと。

日本以外では、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシアなどのアジアから、フランス、ドイツ、スペイン、オランダなどのヨーロッパ、アメリカ、メキシコなどの北米など世界各地で飼育されています。

絶滅危機に瀕した生物を掲げた国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに4万8000種以上が名を連ねる中、現在パンダはどんなカテゴリーで、どのくらい絶滅が危ぶまれているのか。

実はかつてパンダは「絶滅危惧種」でしたが、16年から危険性のランクが引き下げられ、「危急種」となっています。ここまで長くなったため、これ以上の詳細は書きませんが、日本からパンダがいなくなるこのタイミングで調べて学びにつなげてもいい気がします。

余談ですが、筆者は上野動物園に毎年行く動物好きで、パンダの観覧も楽しみにしていました。それでも今回の返還には考えさせられるところが多く、不要論とはいかないまでも、いったん立ち止まって考えてみることの必要性を感じさせられます。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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