「今の日本には贅沢品」「中国に利益がいくだけ」「かわいい動物はいっぱいいる」 パンダ返還で盛り上がる《パンダ不要論》が意外と"ド正論"のワケ

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さらにもう1つよく見られる傾向は、コメントをしながら涙ぐむ人を映し、「○○県から来た」というテロップを表示するなどの演出。

前述したような不要論を述べる人々を扱わず、パンダ返還を嘆く人のみをピックアップして情に訴えかけるような映像が、両者の温度差を広げているように見えます。

パンダを求める人々が「寂しい」「悲しい」に終始するのはネット記事のコメント欄も同様であり、それ以外のさしたる理由はないのでしょう。

シャンシャン
17年に上野動物園で生まれ、一躍人気者となったシャンシャン(写真:撮好おじさん/PIXTA)

理路整然とした不要論に対抗できるようなコメントは見当たりませんし、「議論したら分が悪いことをわかっていてそれを避けている」というニュアンスも感じられます。

見逃せないのは、木原稔官房長官の「現在、複数の地方自治体や動物園からパンダの貸与を希望する声が寄せられていると承知しております。政府としてはこうした要望を踏まえ、パンダを通じた交流が継続されることを期待しています」というコメント。

「上野におけるパンダの経済効果は年間308億円」という報道があったように、ビジネスとしてのうまみがあるのは確かであり、それを狙っている人々も「寂しい」「悲しい」と情に訴えかけるような声をあげています。

これは裏を返せば、経済的な恩恵を受ける人々ですら「寂しい」「悲しい」以外の主張が難しいということ。経済面でパンダが必要な人々ですら「今どうしてもパンダが日本にいるべき」という理由をあげられなければ、今後も不要論が上回っていくのでしょう。

もともと経済的な恩恵を受ける人々とパンダ好き以外は、「かわいいし、いてもいいけど、『どうしても』というレベルではない」「いなくなっても生活は変わらないし、気にならないと思う」が本音。

不要論が活発になった今、「それでもいい」と思っているのではないでしょうか。

上野動物園のパンダ「53年15頭」の歴史

そしてもう1つあげておきたいのは、上野動物園におけるパンダの歴史とメディア報道について。

パンダが日本にはじめてやってきたのは、今から53年前の1972年。当時は中国からの贈与だったカンカンとランランが上野動物園に来園しました。

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