「今の日本には贅沢品」「中国に利益がいくだけ」「かわいい動物はいっぱいいる」 パンダ返還で盛り上がる《パンダ不要論》が意外と"ド正論"のワケ

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以下、上野動物園の歴史をあげていくと、80年にホァンホァンが来園。82年にフェイフェイが来園。86年にトントン、88年にユウユウが上野で誕生しました。

92年にリンリンが来園。2003年にシュアンシュアンが来園。11年にリーリーとシンシンが来園。17年にシャンシャンが上野で誕生。21年にシャオシャオとレイレイが上野で誕生。また、85年と12年には生後数日間で亡くなった子もいました。

シンシン シャオシャオ レイレイ
双子のシャオシャオ、レイレイと母親のシンシン(写真:Lukas/PIXTA)

53年間で15頭が飼育され、上野動物園におけるパンダの不在期間は08年4月から11年2月のみ。長きにわたりメディアは、来日、誕生、返還、死亡のたびに大きく報じてきました。

特に初来日の72年と不在期間を経て来園した11年は報道が過熱しましたが、それ以外でも「パンダ」が関わると大きく報じるというスタンスは昭和時代から変わっていません。

メディアの扱いほどの関心はない

報道・情報番組は高齢層の視聴者が多いため「パンダの話題は数字が獲れる」というムードが現在まで残っているほか、「政治経済や事件事故のニュースと変化をつけたい」という構成面での思惑もあって、まだまだこのスタンスは変わらないでしょう。

しかし、世間の人々はメディアの扱いほどの関心はなく、さらに今回は中国に対する不信も加わったことでメディアと世間の人々の温度差が広がり、不要論の盛り上がりにつながっている感があります。

世界的に見てもパンダが人気の動物であることは間違いありません。それは今月4日、中国を訪問したフランスのマクロン大統領に習近平国家主席自ら新たに2頭の貸与を約束する様子が報じられたことからもうかがえます。

一方、日本は25年6月に和歌山県の「アドベンチャーワールド」の4頭が返還され、26年1月に東京・上野の2頭も返還。中国が新たな貸与に言及しないことから、対応に差をつけていることは明白であり、中国から見た「現在の日本は友好の相手ではない」という意思表示にも見えます。

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