「介護離職者」を待ち受ける"年収激減"の苦悩 3人に1人が仕事との両立に不安を感じている
介護との両立を図るために転職したらどうなるのか。参考になるのが、明治安田生活福祉研究所とダイヤ高齢社会研究財団が昨年9月行った共同調査(対象:親の介護を経験している全国の40歳以上の男女で、介護開始時の働き方が正社員)だ。
それによると、転職先で正社員として働いている人は、男性が3人に1人、女性が5人に1人だった。また、男性のうち3割弱、女性の6割弱がパート・アルバイトとして働いている。調査ではこの割合について「介護と両立できる労働条件を優先した結果、正社員をあきらめた人も含まれると考えられる」としている。年収については、男性は転職前の平均が556.6万円だが、転職後は341.9万円と約4割減。女性は転職前の350.2万円が175.2万円と半減している。
やむをえず介護を抱え込むことも
現在、要介護の認定を受けている人は614万人(2015年7月末時点)と、10年前に比べて1.5倍に膨らんだ。社会の高齢化が進むことで、介護される人は今後も増える。それは、介護と仕事の両立問題に直面する人たちが、さらに増えるということもである。
こうした中、アベノミクス新3本の矢の中で「介護離職ゼロ」という大方針が掲げられた。安倍晋三首相は9月の会見で「介護施設の整備や介護人材の育成を進め、在宅介護の負担を軽減する」と語っている。
だが、単純にサービスや施設を増やせば済むという問題ではない。要介護者がサービスの利用を拒んだり、介護の担い手が親族の協力を思うように得られないなど、やむにやまれぬ事情で一人で介護を抱え、破綻寸前のところまで追い詰められるケースもある。そうした現実にも目を向けなければ、「ゼロ目標」は画餅に帰すだろう。介護をしていない人も事前にやれることはある。
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