家族以外はどうでもいい?アジア人従業員の価値観とは

 

自分が産休中に他の同期が昇進したことに腹を立ててトラブルを起こしたり、日本に半年の研修に来たら妊娠していて、その後の法的手続きが大変だった、など周辺トラブルは結構多いようです。

彼女たちにとって「生まれてくる子供は仕事と比べようもなく大事なもの」であり、一方で「ちゃんと損得勘定もするわよ。当たり前でしょ」ということです。ただ、こうした業種では、当然ながら男性だけでの対処は限界がありますので、最も重要なのは女性管理職の存在です。総務など間接部門のトップを女性にするなどもよいと思います。

--なるほど、確かにいろいろ、ありますね。

新興国アジア人材の家族観は明らかに日本人とは違います。他人と家族の絶対的な違いを認識し、「家族への信頼」と「他人への猜疑心」がセットになっています。ですから、彼らは選択に迷うことはありません。

「家族も他人も信頼する社会」に慣れている私達には、彼らの思考や行動が理解しにくいのは当たり前です。日本人は自分達が特殊であるということを念頭に置く必要があります。「私は他人から信頼されうる人物だ」といくら自分で思ったとしても、それは日本社会の感覚でしかないからです。彼らから見たら「他人」=「家族とは比較にならない存在」=「失っても構わない存在」でしかない、という当たり前のことを受け入れる必要があると思います。

矛盾するようですが、一方「猜疑心」の裏側で「家族同様の信頼に足りる人物と巡り合いたい」という隠れた欲求も合わせ持っています。また「準家族」のようなコミュニティ、仲間も大切にします。

ただ、日本人管理者が仕事の中で、それを目指すのは無理があり、不可能と割り切る必要があると思います。いくら情をかけても、ビジネスはビジネス、損得の場です。必要以上の信頼関係を目指すと、「私はこんなに愛情を注いだのに彼らはわかってくれなかった」「裏切られた」と嘆き、いらぬストレスをどんどんた貯め込むことになります。そうならないように、思考の違いを理解しておくことが必要なのではないかと思います。

すがい・しんいち
1973年生まれ。法政大学英文科卒業。外資系IT企業、インド関連コンサルティング会社にて取締役として事業の立ち上げ等を経て、現在はネクストマーケット・リサーチ代表取締役。中小企業診断士。

ネクストマーケット・リサーチ
インド・バングラデシュなど南アジアの企業・金融・経済情報の提供のほか、進出支援コンサルティング、インターネット関連事業などを行っている。
http://nm-research.com

(聞き手:東洋経済HRオンライン編集長:田宮寛之 須貝氏撮影:尾形文繁)

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