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「ルンバ」の米アイロボットが破産申請…ロボット掃除機で存在感を増す中国勢。データ管理の懸念が指摘されても"代替が見えにくい"現実

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  • 浦上 早苗 経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員(コミュニケーションマネジメント)
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アイロボットが中国企業に飲み込まれることで、家庭用ロボット掃除機は中国勢の存在感が一層増す形となった。「中国メーカーばかりになる」との声も上がっているが、日本以外はすでにそういう状況だった。

さらに言えば、業務用ロボット掃除機市場は日本市場でも中国メーカー以外の選択肢が少なくなっている。

中国メーカーにとっては国内にとどまっていては価格競争で消耗するばかり。日本企業は人手不足と人件費上昇を背景に「ロボットの手も借りたい」と利害が一致する。

機能と価格のバランスが圧倒的に優れているのは前述した通りで、コスト減のためにロボット掃除機を導入している日本企業からすると、中国メーカーを排除する理由がない。同製品に限らず中国メーカーは一般消費者向けより企業向け市場で日本に根付いている。

ガスト、しゃぶ葉などすかいらーく系のファミレスで見かける猫型配膳ロボット「ベラボット(BellaBot)」を展開するPudu Roboticsは業務用ロボット掃除機も積極展開し、ホテル三日月グループ(千葉県)などに納入している。

Pudu Roboticsの商用清掃ロボット「SH1」(画像:Pudu Roboticsプレスリリースより)

議員会館にも中国の清掃ロボット

今年4月、小野田紀美参院議員(現・経済安保担当相)が参議院「地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会」において、デジタル機器の安全保障が気になっている、と切り出し、一例として衆議院の議員会館で稼働している清掃ロボットを調べたら中国企業の製品だったと取り上げた。

衆院議員会館で稼働しているのは上海に本社を置くガウシウムの業務用ロボット掃除機「Phantas(ファンタス)」。中小規模の商業施設やオフィスビル向けに設計され、吸引、掃き掃除、乾拭き、水拭きの4つの機能を持つ。日本国内では、ソフトバンクロボティクス、楽天モバイル、大塚商会、アイリスオーヤマなどが法人向けに同製品を取り扱っている。

(画像:ガウシウムのWebサイトより)

ガウシウムはマッピングに強みを持ち、中国では業務用掃除ロボットの9割のシェアを持つトップ企業。21年11月にはソフトバンク・ビジョン・ファンド2などが主導するシリーズCで1億8800万ドルを調達している。

アイロボットは生産を中国企業に委託した。合理的な判断だったが、ノウハウと生産能力を高めたOEM企業に最終的には飲みこまれることとなった。

「中国メーカーに情報を抜かれる」との懸念は各所から聞かれるが、人手不足が深刻化する日本はソリューションを自動化に求めるしかない。そこには中国メーカーしかないというのが今の現実でもある。

【写真を見る】「ルンバ」の米アイロボットが破産申請…ロボット掃除機で存在感を増す中国勢。データ管理の懸念が指摘されても"代替が見えにくい"現実(6枚)

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