78歳で死んだ父の信じられない遺言「遺産2000万円はすべて隠し子に」 税理士も弁護士もお手上げの相続争い引き起こした"ずさんな終活"
正直に言ってしまえば、今回のような案件は、私にとっても“後味の悪さ”が残るものでした。Aさんの悔しさも、Bさんの立場も、父親の事情も、すべてが複雑に絡み合っています。それでも、最終的な結論は「認知されていない以上、Aさんには相続権がない」という一点に収束してしまうのです。
こうした悲劇を防ぐために、親が生前にできること
では、このような事態を防ぐにはどうすればよいのでしょうか。
1つ目は、「子どもを正式に認知すること」です。
婚姻前に生まれた子どもがいる場合、認知の有無は将来の相続に直結します。役所に認知届を出すだけの手続きで、費用もほとんどかかりません。それでも、「今は円満だから」「そのうちやろう」と先送りにされがちです。
しかし、一度事故や病気で亡くなってしまえば、もう自分の手では何もできません。残されたのは「血はつながっているのに、法的には親子ではない」という、今回のAさんのような状況だけです。親として、子どもにそんな思いをさせたいかどうか。そこを一度立ち止まって考えていただきたいのです。
2つ目は、「遺言で意思をはっきり残しておくこと」です。
特に、再婚家庭や事実婚、別姓の家庭など、家族構成が複雑な場合は、遺言の有無で相続の結末がまったく変わります。公正証書遺言であれば、形式的なミスで無効になるリスクも低く、相続の現場で強い効力を持ちます。
遺言というと「誰にいくら渡すか」という“お金の話”だと思われがちですが、それだけではありません。「なぜそのように分けるのか」「誰に感謝しているのか」「どんな家族であってほしいのか」といったメッセージを書くこともできます。感情的な対立を和らげ、残された家族が納得しやすくなることも少なくありません。
私がよくご提案しているのは、「人生の終盤に差しかかったと感じたら、一度“家族会議”をしてみませんか」ということです。戸籍を取り寄せ、現在の法的な家族関係を確認し、財産の一覧を作って共有する。家族のLINEグループなどを使って、「どこに、どんな資産があるのか」「どの口座をどうしてほしいのか」といった情報を見える化しておくだけでも、後々の混乱は大きく減らせます。
相続は、お金の問題であると同時に、「人生の締めくくり方」の問題でもあります。
“最後まで責任を果たす”というのは、単に財産を残すことではなく、家族が揉めないように整理しておくこと。
それこそが、親としての本当の愛情なのではないでしょうか。
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