78歳で死んだ父の信じられない遺言「遺産2000万円はすべて隠し子に」 税理士も弁護士もお手上げの相続争い引き起こした"ずさんな終活"

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税理士として多くの相続案件を見てきましたが、「育ててもらった子どもが相続できず、一度も会ったことのない“隠し子”が相続人になる」という構図は、私の経験上でも極めてレアケースです。それでも、制度上は何一つおかしくありません。そこに、この問題の根深さがあります。

残された道は「死後認知」だけ…

では、Aさんが相続権を得る方法はまったくないのでしょうか。

理屈の上では、一つだけ道があります。それが「死後認知」です。

死後認知とは、亡くなった父が生前に自分の親だったことを、子どもの側から家庭裁判所に申し立て、裁判所が認めれば法的な親子関係を成立させる制度です。

しかし、この手続きにはいくつもの高いハードルがあります。

まず、「本当に親子であった」ことを証明する必要があります。DNA鑑定ができれば比較的わかりやすいのですが、今回のケースではすでに火葬が終わっていました。生前に採取した検体もありません。そうなると、手紙や日記、写真、メールのやり取り、生活費の送金記録など、さまざまな間接証拠を積み上げていくしかありません。

顧問弁護士にも相談しましたが、「方法がまったくないわけではないが、かなり難しい」という結論でした。証拠集めに時間がかかるだけでなく、結果がどうなるか読みにくい。まさに“賭け”のような戦いになってしまいます。

さらに、今回のケースをより厳しくしていたのが、公正証書遺言の存在です。父の遺言は、公証役場で作成された正式なもので、形式・内容ともに問題ありませんでした。公正証書遺言は、数ある遺言の中でも最も強い法的効力を持ちます。

次ページこのケースの本質的なつらさはどこにあるのか
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