3920戸マンモス団地が進めるコミュニティ再設計、イベントで見えた変化の兆し。建物も住民も高齢化→若者・子育て世帯に"選ばれる"団地へ

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団地の近くにキャンパスがある関係で、桜美林大学のサークルが出店やダンスパフォーマンスなどでイベントに参加している。出店で「桜美林大学ぼくらのサークル」が、ミニタペストリーをつくるワークショップを行っていたので、話を聞いた。このサークルを立ち上げたのは、首藤羽南さん。実は、首藤さんが、「まちやまプロジェクト」のコミュニティビルダーだった。

桜美林大学ぼくらのサークル
ミニタペストリーをつくるワークショップを行っていた「桜美林大学ぼくらのサークル」の面々。右端が首藤さん(写真:筆者撮影)

首藤さんは、大学入学と同時にこの団地に住み始め、そのころから団地のイベントにも参加していた。団地暮らしが気に入った首藤さんは、「地域起こしには、よそ者、若者、馬鹿者が必要と言われているが、まさに自分に当てはまる」と感じて、コミュニティの架け橋となるべくコミュニティビルダーに応募をした。

この団地のコミュニティビルダーに任命されたのは首藤さん一人で、若い世代に地域の魅力を発信するために、Instagramで商店街の店舗紹介などの情報を掲載したり、イベントに参加したりしている。「団地には高齢者が多く、若い世代との交流が重要。この団地が、たくさんの人の居場所になればいいと思って活動している」という。

団地未来会議は、こうした若い世代を巻き込んで、関わるメンバーが自分ごととして団地の活性化に取り組むのが、特徴のようだ。

イベントによる実証実験の成果は?

UR都市機構とYADOKARIの協業は、2024年夏から。これまでに5回の「スコーレ」を開催してきた。2025年からは、野外のナイトシネマなどの気軽に参加しやすい小規模なスコーレも開催している。「団地で面白いことをやっている」という認知拡大が目的だ。

イベントの開催については、参加者や団地に住む人からの評価も上々だという。アンケートの結果によると、30〜40代の子育て世帯の女性を中心に「開催してくれて嬉しい」といった意見が多く、イベントに参加しなかった団地の居住者からも「地域に若い人が来ることを歓迎する」といった声が寄せられているという。

また、イベント開催時には騒音も出るが、イベント会場となる広場と住棟のある居住空間とに距離があるため、うるさいといったクレームは来ていないそうだ。広大な敷地と空間のゆとりといった、団地ならではのメリットが生かされているのだろう。

「まちやまプロジェクト」では、イベントを実証実験と位置付けているだけに、毎年、活動結果を検証・評価し、次年度の計画を立てている。その内容は「まちやま通信」に盛り込み、団地の全戸にポスティングすることで共有している。

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