喉頭がん、失った声…「落ち込むより高揚した」ロックスター吉井和哉50代の生き方。栄光を脱ぎ捨て考える"ロックは何を与え、何を奪ったか"

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吉井和哉
破天荒な若さを脱ぎ捨て、背負ってきた過去と折り合いながら、それでも前へ進む。その歩く姿こそ──いま吉井和哉が鳴らしている“ロック”だった(写真:横山マサト)
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ロックスターとしての栄光よりも、失った声、再び鳴らした音、そして静岡に置いてきた“未完の青春”のほうが、ずっと真実に近かった──。

喉頭がんを抱えながら歩いた3年間に密着した映画『みらいのうた』は、
吉井和哉という人間の“根”を静かに掘り起こしていくドキュメンタリーだ。

50代からの人生は、決して下り坂なんかじゃない。

むしろ、自分の未来をもう一度選び直すことができる──作品は、そう語りかけてくる。

「この映画は、僕の人生そのものだと思った」

「この映画を作るために、ミュージシャンを続けてきたんじゃないか。それくらい、人生の代表作だと感じています」

吉井和哉は、そう静かに語った。

ドキュメンタリー映画『みらいのうた』は、“ロックスターの軌跡”ではない。

ひとりの男が、自分の過去と未来をどう編み直すのか──そのプロセスを追った作品だ。

密着が始まったのは2022年のこと。監督・エリザベス宮地がカメラを回し始めてほどなく、喉頭がんが見つかる。それでも撮影が止まることはなかった。

「ドキュメンタリーって、ハプニングがないと面白くならないじゃないですか。何か起きるたびに“よっしゃ!”って思ってました(笑)」

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