「誕生日プレゼントの代わりに整形を」 広がる小児の美容整形"親や医師の言い分"は?現場医師に美容現場の実情と課題を聞いた

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「3つ目は、医師の問題。小児の美容整形は、大人の施術と同じように見えて、実際はまったく異なる専門性が求められます。成長期特有の身体構造や心理面を理解し、適切な判断ができる医師でないと対応が難しいのが現実です。

専門性の高い美容外科医は、治療の可否を判断する際に、施術そのものだけでなく“その後の子どもの人生”まで含めて考えることを大切にしています。一方で、商業的色合いの強い医師の場合、“埋没法くらいなら”と軽く判断し、安易に施術に踏み切ってしまうケースもあります。こうした姿勢が、昨今のトラブルの一因になっていると言えるでしょう」

小児の美容整形の問題は、この3要素が複雑に絡み合って成立している。

冒頭に丸山氏が述べたように「いい・悪い」と単純に結論づけることが難しい背景には、こうした構造が関係しているのであろう。

「整形したい」と我が子から相談されたら?

ネット上に飛び交う美容コンテンツは、今後ますます増加の一途をたどるだろう。現実離れした整った顔立ちの同世代のモデルや、美容整形で人生が変わったという実体験動画を目にした我が子から、ある日突然「整形したい」と相談される日が来るかもしれない。

そんな時、親はどう向き合えばいいのだろうか?

「まず、なぜ美容整形をしたいと思ったのか、その理由を丁寧に聞いてあげてください。

やってはいけないのは、頭ごなしに否定すること。“そんなのダメに決まってる” “整形なんて意味ないよ”などと突き放してしまうと、子どもの心を傷つけ、精神状態を悪化させてしまう可能性もあります。

親子でじっくり対話をすることで、子どもが抱えている本当の悩みや、家庭としての考え方が徐々に見えてくるはずです。そもそも、親子で落ち着いて話し合えないような関係であれば、その時点で整形をすべきではありません」

親子で話し合うーーー抽象度が高く、一見具体的な策ではないように感じるかもしれない。しかし、小児の美容整形は一筋縄ではいかないからこそ、抽象的な問題をいかに具現化できるかが肝なのだ。そのためには、親子間での丁寧なコミュニケーションが欠かせない。

幼い子どもたちの美容整形を後押しする広告や動画は、今この瞬間も数えきれないほど流れ続けている。だからこそ、一度立ち止まり、自分たちの価値観と向き合う時間を持つことが、SNS時代を生きる親と子にとって何より重要なのかもしれない。

【クリック】二重整形にエラ削り…美容整形に抵抗がない10代も。症例画像をもう一度見る
杉井 亜希 フリーランスライター/イラストレーター

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すぎい あき / Aki Sugii

1989年東京下町生まれ。法政大学卒業後、一般企業に勤めるも自身の創作意欲を払拭できず見切り発車で2016年に独立。現在は大手美容メディアや生活情報メディアを中心とした執筆・編集業務に携わり、女性誌や児童書などでのイラスト制作も手がける。やわらかで読みやすい文章制作が得意。2018年、2022年生まれの子を持つ2児の母で愛犬家。

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