「誕生日プレゼントの代わりに整形を」 広がる小児の美容整形"親や医師の言い分"は?現場医師に美容現場の実情と課題を聞いた

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ここまで見てきたように、小児の美容整形には「子ども」「親」「医師」という3者の思いが複雑に関わっている。小児の美容整形が適切かどうかを考える際には、それぞれが抱える事情や背景を理解しておくことが欠かせないという。

「いい・悪い」と単純に結論づけることが難しい背景

下顎の骨を切る受け口治療後の10代女性(写真:銀座マイアミ美容外科提供)
下顎の骨を切る受け口治療後の10代女性(写真:銀座マイアミ美容外科提供)

「まず考えるべきは、子どもの身体的・心理的な発達についてです。成長途中の小児に美容整形を行う場合、術式によっては成長への影響が生じる可能性もあります。

例えば、鼻の骨を高くする手術を成長段階で行った場合、その後の成長が不十分、あるいは過成長になるなどの成長障害が起きる場合があります。

また、成長とともに見た目の印象や価値観も変化していくため、後に施術を後悔してしまう可能性も否定できません。

加えて、小児期はまだアイデンティティが確立途上であり、心理的にも未成熟なことが多い時期です。そのような段階で外見に強く働きかける選択をすることには、当然ながら慎重さが求められます」

小児の判断基準は揺らぎやすいからこそ、親が正しい知識を持ち、子どもにも適切な理解を促していく姿勢が重要となることがうかがえる。

「2つ目は、親である大人の問題。親の精神が未熟な場合、子どもの美容整形が幸せな方向に進むことはまずないでしょう。

先ほどもお伝えしたように、プレゼント代わりに子どもに美容整形をさせたり、過度にルッキズムを気にしていたりする親は、昨今ではそう珍しくありません。なかには、親自身のコンプレックスを子どもの外見に投影してしまうケースもあります。

小児の美容整形ではどのような親子関係を構築できているかが非常に重要なポイントとなりますが、親がこのような状態だと、大抵の場合健全な関係性が築けていません。

良好な親子関係が構築できているか、整形に対する家庭の方針がしっかり定まっているかーーこれらが確認できない場合は、美容整形に踏み切るべきではないと思います」

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