おみくじで「大吉」を引いたら「縁起がいい」? 多くの日本人が考える「縁起」はもともとの意味とは違うらしい。語源を大検証する

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水晶玉に映った風景
仏教が考える世界観がこの言葉に込められている(写真:mika/PIXTA)
朝からいいことがあると「今日は縁起がいいぞ」などと言う。この「縁起」とはいったい何のことか考えたことはあるだろうか?
そもそも「縁起」とは「宇宙の実体」である――。こう言うと、ビックリする人が多いだろうが、日本人の多くが知らないだけで実は奥深い意味を持っている。もともとは仏教由来の言葉で、この世界のあらゆるものごとは単独で存在しているわけではなく、つながり合って生じているという考え方を指す。
世界で驚異的なペースで300万部を売り上げた『全人類の教養大全』シリーズ著者であるチェ・ソンホ氏が、縁起をキーワードに仏教の究極の教えについて解説する。

そもそも「縁起」とは何か

縁起は仏教が考える「世界の実体」だ。

縁起はとても重要な概念で、あらゆる現象が原因と条件によって生じ、消えることを指している。

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この考え方によれば、世の中に独立して存在しているものなんてない。あらゆるものが時間的に、あるいは空間的に、ほかのものと絡まりあった因果の歯車のもとに置かれているというのだ。

例として、北斗七星を挙げてみよう。

夜空に浮かぶ北斗七星は、昔の航海士たちの道しるべとなり、長い夜におばあちゃんが聞かせてくれる物語になり、実際に僕たちの暮らしに影響をおよぼしてきた。

ところが、北斗七星に実体はない。その7つの星は、地球からの距離がそれぞれちがい、それによって光が到達する時間もバラバラだ。僕たちの目には一度に入ってくるこの星々は、実際には異なる空間にそれぞれ存在していた“痕跡”だ。

僕たちはこれらを勝手にまとめて、1つの実体として理解しているだけなんだ。

ブッダはあらゆるものの実体がこれと同じだとしている。

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