【医師が勧める】腎機能が気になる人が「たんぱく質を味方につける3つの工夫」→たんぱく質は「減らす」ではなく「ちゃんと食べる」

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まずは、腎機能とたんぱく質についての基本を述べておきましょう。

肉、魚、卵などのたんぱく質は、体内で代謝された後、多くの老廃物を生じさせます。この老廃物が腎臓の負担となるために、「腎臓が悪い人はたんぱく質摂取を控えたほうがいい」ということになっているのです。実際、現行の慢性腎臓病の食事指導ガイドラインでも、それぞれの進行ステージに応じて「摂っていいたんぱく質の量」が決められています。

しかし、だからといって、「減らせば減らすほどいい」というわけではないのです。むしろ、「減らしすぎ」は絶対に禁物と心得ておかねばなりません。

それというのも、たんぱく質を減らしすぎると筋肉量が減ってしまうから。たんぱく質が不足すると、それを危機と捉えた体が自らの筋肉を分解してたんぱく質を補おうとするシステムが働きます。とくに高齢者の場合、このシステムが働き出すとどんどん筋肉量が減っていき、サルコペニア(筋肉減少症)やフレイル(虚弱)のリスクを高めることにもつながりかねません。

しかも、この「筋肉→たんぱく質」の分解が進むと、結果的にたんぱく質を大量に摂取したのと同じことになり、それが腎機能の負担となって、いっそう慢性腎臓病を悪化させてしまうことになるのです。そのため私は、たんぱく質に関しては、「摂りすぎのリスク」よりも「摂らなさすぎのリスク」のほうがはるかに大きいと考えています。

高齢者は「ちゃんと食べる」のを基本にすべき

では、いったいどうすればいいのか。私もよく高齢の慢性腎臓病の患者さんから「たんぱく質は減らさなくてもいいんですか?」「摂らないよりも摂ったほうがいいんですか?」と質問を受けます。

そして、そういう質問を受けたとき、私はいつも「たんぱく質は、自分が摂っていい量の上限ギリギリまでちゃんと摂るようにしてください」と答えるようにしています。つまり、ガイドラインで決められている摂取量の上限ラインすれすれまで「できるだけ摂ってやろう」という姿勢で臨むといいのです。そのラインでたんぱく質とつき合っている分には、摂りすぎで腎臓に負担がかかることもありませんし、たんぱく質が不足して筋肉が減ってしまうこともありません

とにかく、たんぱく質制限をがんばって、それでサルコペニアやフレイルになってしまってはすべてが台無しです。だから、とくに高齢の方は「減らそう」という気持ちは捨てて、「ちゃんと食べる」のを基本に据えたほうがいいでしょう。ぜひみなさんも、その「基本」を忘れることなくたんぱく質とつき合っていくようにしてください。

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