では、ここからは「腎臓リハビリ」で指導しているたんぱく質の摂り方の工夫を紹介しましょう。
たんぱく質対策の工夫
〈たんぱく質対策の工夫①〉主食のごはんを「低たんぱく食品」に替える
私たちの主食のごはんやパンには、じつはけっこう多くのたんぱく質が含まれています。ごはんの場合、茶碗1杯のたんぱく質は4~5g。1日3食ごはんを食べたら、それだけでたんぱく質がかなりの量に達してしまい、肉や魚をほんの少量しか摂れないことになってしまいます。
でも、このごはんに含まれるたんぱく質がゼロに近かったらどうなるでしょう。ごはんのたんぱく質が浮いた分、よりたくさん肉や魚を食べられることになりますよね。
じつは、それを実現してくれる「低たんぱく食品のごはん」が売られているのです。たとえば、キッセイ薬品工業が発売しているパックごはんの「新ゆめごはん1/40」は、たんぱく質含有量が通常のごはんの40分の1。1食分のたんぱく質含有量は0.11g程度でほとんどゼロです。しかも、味も見た目も普通のごはんと変わらず、電子レンジで数分温めるだけでおいしくいただくことができます。
つまり、こういったパックごはんを活用して主食のたんぱく質をカットすれば、肉や魚、卵などをほとんど「普段通り」に食べられるということ。自分だけ肉や魚を減らさなくても、家族と同じ食事を楽しむことも十分に可能です。最近はごはんの他、パンやうどん、そば、ラーメンなどの低たんぱく食品も登場しているので、ぜひ「主食低たんぱく化」をうまく活用して、日々の食卓を充実させていくことをおすすめします。
〈たんぱく質対策の工夫②〉肉を遠ざけてしまうのは絶対NG
肉は元気と活力をもたらす栄養源です。肉には人体に欠かせない必須アミノ酸がすべて含まれていますし、肉に豊富に含まれるコレステロールはさまざまなホルモンをつくる材料になります。そして、そうしたホルモンが、意欲や活力を高めたり、免疫力を維持したりと、日々の生活を送るうえでの力の源になっているのです。
ですから、私は、慢性腎臓病の人も(自分が摂っていい範囲内で)肉を積極的に食べるほうがいいと考えています。とくに高齢になってからたんぱく質が不足すると、筋肉が落ちるだけでなく、内臓の働きが落ちたり、免疫力が低下したり、意欲や活力がなくなってきたりして、一気に心身の衰えが進んでしまうことが少なくありません。脅かすわけではありませんが、日々の食卓から肉を遠ざけてしまうと、こういった重大な問題がいつ発生してもおかしくない状況になると心得ておいたほうがいいでしょう。



















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