【医師が勧める】腎機能が気になる人が「たんぱく質を味方につける3つの工夫」→たんぱく質は「減らす」ではなく「ちゃんと食べる」

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〈たんぱく質対策の工夫③〉豆腐、納豆、卵……たんぱく質は毎食欠かさず摂る

意外に知られていないのですが、たんぱく質は基本的に体内にためておくことができません。そのため、不足させないようにするには、朝昼晩、毎食欠かさずたんぱく質を摂る必要があるのです。

朝昼晩のうち、夜は肉か魚をメインディッシュとして食べていただくとして、たんぱく質が「手薄」になりやすいのが朝と昼。そこで、朝や昼のたんぱく質メニューとして大いに活用していただきたいのが「豆腐」「納豆」「卵」の3つです。

この3つはどれもたんぱく質の栄養源として非常に優れています。豆腐と納豆には血圧や血糖値を安定させるのをはじめさまざまな健康効果が期待できますし、卵は人体に不可欠の必須アミノ酸をすべて含んでいるうえ、意欲や活力を生み出すコレステロールも豊富に含まれています。それに、卵料理は「生卵」「ゆで卵」「目玉焼き」「スクランブルエッグ」と多くのバリエーションで摂ることができますし、卵かけごはんをはじめ、簡単に準備できてササッと食べられる点も大きな魅力です。

そのため私は、豆腐、納豆、卵の3本柱をローテーションのように回して献立を組むことをおすすめしています。とくに高齢の方はたんぱく質の吸収率が悪くなっているため、毎食ちょっとでもたんぱく質を摂る習慣が欠かせません。ぜひローテーションをうまく回して、たんぱく質不足に陥るのを防いでいくようにしてください。

自分の適量をつかんでたんぱく質を味方に引き入れる

それと、腎機能低下が気になる人がたんぱく質とつき合う場合は、「これくらいまでなら食べて大丈夫なんだな」という「だいたいの自分の適量ライン」の感覚をつかんでおくことが大切です。たぶん、「肉や魚、卵を食べるのに、いちいちグラム数なんか計算してられない」という人がほとんどでしょうし、神経質になりすぎて食欲や食事量を落としてしまうのもいけません。むしろ、多少アバウトであっても「自分の適量」を把握しておいて、その感覚に従って食卓に向き合っていくほうがいいのです。

そして、いちばん大切なのは「たんぱく質を自分の味方につけていくこと」だと思います。「摂りすぎもダメ、減らしすぎもダメ」という扱い方が難しいたんぱく質ですが、自分の適量をつかんで味方につけてしまえば非常に心強い存在となり、それによって日々「普通の食事」を楽しんでいける可能性が大きく広がるはずです。

ですから、みなさんもたんぱく質を味方に引き入れて、日々の食生活を楽しみながら腎機能をキープしていってください。きっとその姿勢は、この先、腎臓寿命を延ばしていくうえでとても大きなプラスになることでしょう。

上月 正博 東北大学名誉教授、山形県立保健医療大学理事長・学長

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こうづき まさひろ / Masahiro Kouzuki

医学博士。日本腎臓学会功労会員、総合内科専門医、腎臓専門医、高血圧専門医、リハビリテーション科専門医。1981年、東北大学医学部卒業。東北大学大学院内部障害学分野教授、東北大学病院リハビリテーション部長、東北大学大学院障害科学専攻長、同先進統合腎臓科学教授を歴任。2022年より現職。心臓や腎臓などの内部障害のリハビリテーションを専門とする。2011~2021年日本腎臓リハビリテーション学会理事長、2020より国際腎臓リハビリテーション学会理事長。2018年には腎臓リハビリテーションの功績が認められ、心臓や腎臓の分野に貢献した科学者に贈られる世界的に名誉ある賞「ハンス・セリエメダル」、2022年には「日本腎臓財団功労賞」を受賞。

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