受験競争の激しい韓国で「1年間"休む"」選択をした子どもたち——。『オー・マイ・ニュース』創設者ら語る、日韓に共通する「教育の未来」

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ドキュメンタリー映画「大丈夫、アリス」
韓国教育界に一石を投じたドキュメンタリー映画『大丈夫、アリス』(画像:OhmyNews提供)

――韓国の大統領もこの映画を観たと聞きました

オさん:李在明(イ・ジェミョン)大統領が大統領になる前に、この映画を観てくれました。そして、教育長たちも観ています。結果、我々の作った「クムトゥルリ人生学校」のような学校を公立でも作ろうという動きが出てきて、実際に始まっています。

実は、この学校をやっている当時、公立の学校の先生たちが週に2回ほど研修に来るようなこともありました。その先生たちが自分の勤める公立の学校に「クムトゥルリ人生学校」でやっていることを導入し始めたのです。

これはすごい発展だと思っています。私たちの作った学校は私立でしたから、通う場合は、保護者が授業料と生活費を払わないといけません。費用は日本円でおよそ月に11万円くらいです。

ですから、ある程度、経済力のある家庭の子どもしか通うことができません。しかし公立になれば、その負担は格段に減りますから、家庭の経済状況によらず、「クムトゥルリ人生学校」のような教育環境を選ぶことができます。こういう学校が公に認められることは、教育の価値観の変化にもつながると思います。

教育の変化の兆しは日本にも

岩本さん:韓国でオさんが作られた「クムトゥルリ人生学校」のような教育を「いい教育」と感じる親御さんに近いような感覚を持った大人が日本でも出てきていることを感じています。教育の変化の兆しは日本にもあると思っています。

私の関わる「地域みらい留学」も、年々、興味を示してくれる保護者が増えてきていて、今も1000人くらいの子どもたちが我々のプログラムを利用して日本各地の公立高校で学ぶことを選択しています。高校の学習に関しても、自分の興味関心を元に探究していくという動きがここ数年ものすごく広がってきています。

国のほうでは、すでに2030年に向けての学習指導要領の審議が始まっていますが、新しい学習指導要領の中でも、子どもたちに必要なこととして「余白」の大切さが取り上げられています。

子どもたちに「余白」を作ることと同時に、大人たちにも「余白」をという話も出ています。子どもたちが身につける力としては、「自らの人生を舵取りする力」ということも盛り込まれようとしています。具体的にそれをどういう風にやっていくのかというところが、これからの課題だと思っています。

トークショーの様子
トークショーの様子(撮影:尾形文繁)
宮本 さおり フリーランス記者

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みやもと さおり / Saori Miyamoto

地方紙記者を経てフリーランス記者に。2児の母として「教育」や「女性の働き方」をテーマに取材・執筆活動を行っている。2019年、親子のための中等教育研究所を設立。

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