受験競争の激しい韓国で「1年間"休む"」選択をした子どもたち——。『オー・マイ・ニュース』創設者ら語る、日韓に共通する「教育の未来」
韓国の社会はいろいろな方面で発展してきましたが、一方で、「幸せでない」と感じる人も多くいて、そういう指標もいっぱいある。なぜこうなってしまったのか。「ジャーナリストとして記事を書くだけでは十分ではない」と思うようになったんです。それで、教育に関心を持つようになりました。ニュースではなく、人に関心を持つようになったのです。
岩本さん:映画『大丈夫、アリス』を見て、4回くらい泣いてしまいました。教育に関わるものとして、本当に子どもたちに「大丈夫だよ」ということを伝えられているのかということを、問い直させられた映画でした。
映画は韓国が舞台ですが、「韓国って大変だね」という話ではなくて、日本の子どもたちの現状にもかぶる部分があると思っています。
今、日本の中学生・高校生の死因の一番の要因は自殺です。G7の中でも自殺によって死ぬ子どもたちが多いという現実があります。(映画に出てくる若者のことは)違う国の話ということではなく、日本でも、自分ごととして考える必要があると思いました。
激しい受験戦争に疲弊する韓国の子どもたち
――どのような問題意識を持って今回の映画を撮りましたか
ヤン監督:私には子どもが2人います。すでに成人していますが、私は親として、学業ストレスを与えるような親ではないと思っていました。ですが、この映画の撮影で「クムトゥルリ人生学校」の子どもたちの話を聞きながら、親としても反省するような部分が多くありました。
韓国では、親や先生が、“この道に進むと成功できるよ”と言ってあげれば、子どもたちはついてくるという考えを持つ人が多い。多くの子どもたちは、学校が決めた時間割にのっとって勉強し、学校が終ったらすぐに塾に行く。夜の時間のほとんどを塾に使う生活です。
子どもたちが今生きている韓国の社会、教育の中には、自分を見つめる時間がありません。この映画を作りながら、子どもたちに休む暇が与えられたらいいなと思いました。
1日のほとんどの時間を学校と塾で過ごす子どもたちは、他の人が決めた道、親が決めた時間に合わせて生きていかなくてはなりません。
「自分は何が好きなのか」や、「自分が本当にしたいことは何か」
を考えられる時間はありません。
この映画を作る中で、子どもたちには、「どんな学校に行こうかな」ではなくて、「私はどんな大人になろうかな」「どんな人生を過ごしたいかな?」ということを考えるようになってほしいと思うようになりました。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら