小泉進次郎防衛相が意欲の《5類型撤廃》 「防衛装備品の輸出拡大」議論が活発化する背景

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そのため、「5類型」のルールを撤廃して輸出を拡大するという話になると、「どれだけ儲かるのか?」という防衛特需の話に終始してしまう傾向にあります。

儲かるか儲からないかといった表面的な話ではなく、現在の安全保障環境がどのようなものであるかという背景をきちんと理解したうえで、ではどの国にどのような装備品を輸出するかといった議論がなされるべきです。

これは決して防衛省・自衛隊や防衛関連企業だけの話ではなく、日本の社会全体で考える問題です。

国民全体で軍事・防衛について考え、広く議論がなされる環境を作っていく必要があるでしょう。

「防衛費GDP比2%」が打ち出された背景

現在、防衛費と関連経費を合わせて国内総生産(GDP)比2%水準に増やすという指標について、日本政府は補正予算を組んでまで年内に達成させる見込みです。

これらの施策は、日本周辺の安保環境が厳しさを増してきたことが関係しています。

これまでしばらく、日本にとっての防衛的な同盟関係はアメリカでした。少し乱暴な言い方をすれば、アメリカの方だけを向いてれば良かったわけで、アメリカに対する武器の共同研究開発や、武器の技術の移転などを徐々に行ってきました。

しかし、最近になって、アメリカの国力が相対的に弱まってきた。そして代わりに台頭してきたのが中国です。

そうなると、日本としても、アメリカとの同盟関係は重要ではあるものの、やはり他の国とも協力して、ある程度、自己責任で国を守らなければいけない必要性が出てきたわけです。

報道などでも、「準同盟国」「同志国」といった言葉がよく出てくるようになりました。

22年に、日本は、オーストラリアと日豪円滑化協定を結び、23年にはイギリスと日英部隊間協力円滑化協定を締結しました。軍隊の物品をやり取りしたり、オーストラリアやイギリスの艦艇が日本近海に来た場合には自衛隊が守るといった取り決めをし、相互に技術を提供したり装備品を共同研究開発するといった流れも出てきています。

つまり、今までアメリカに対して行ってきたことを次第にアメリカ以外にも広げつつあるという段階にきているのです。

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