小泉進次郎防衛相が意欲の《5類型撤廃》 「防衛装備品の輸出拡大」議論が活発化する背景
この「5類型」の輸出ルールが国内で大きな議論を呼んだ背景には、ウクライナに対する支援があります。
令和4年(2022年)3月に「運用指針」が改正され、「国際法違反の侵略を受けているウクライナに対して自衛隊法第116条の3の規定に基づき防衛大臣が譲渡する装備品等に含まれる防衛装備の海外移転」も認められることとなりました。
しかし、日本が支援したのは、防弾チョッキや鉄帽(ヘルメット)、地雷探知機、電話、医療機器、車両といった攻撃能力のないものでした。一方でアメリカやヨーロッパは、対戦車ミサイル・ジャベリンや高機動ロケット砲システム・ハイマースなどを提供しました。
ウクライナ側としては日本に感謝の意を表明してはいます。しかし日本がウクライナのような立場に立った時、防弾チョッキやヘルメットのみの支援で満足できるでしょうか。
こういった実情を踏まえたうえで、「5類型」がどうかというよりは、輸出した装備品が誰によって、どのように使われるか、それが中長期的な観点で日本の安全保障にどのように貢献するのか、といったことが議論されるべきです。
儲かるか否かという表面的な話ではない
装備品の輸出の拡大や防衛費増額の話題が上がる時、多くの場合、「防衛予算が増えたら、国や企業がどれだけ儲かるか」といった話題もセットでなされます。
しかし、そもそも、装備品の輸出の主な目的は、利益を出すことではありません。
ウクライナの例のように、価値観を同じくする国が困っている時には支援することが、日本の安全保障にも繋がり国際社会の平和と安定に寄与するという認識に基づくものです。
ところが、良くも悪くも長い間、大きな危機感を持たずにきた日本では、社会全体が安全保障や軍事といったことに関して距離を置くところがあります。


















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