「冬になると別人みたいに落ち込むのは私だけ?」「布団から出られない…」4年目の《冬季うつ》が教えてくれた"自分とのつき合い方"

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春から夏は元気だ。自信に満ち溢れている。意欲もわいてくる。やりたいことや、やるべきことがはっきりして、1日にいくつかの予定をこなすこともできる。頭の回転は速くて、いろんなことの段取りが素早くできる。友達を家に呼んでちょっと凝ったごはんを作る。レシピ本を買って新しい料理を作ってみたりもする。

1人でいても満ち足りていて不安はなく、誰かといても楽しい。起床時間もだんだん早くなっていき、朝起きた瞬間から行動できる。欲しいものが出てきて、お金を使う(極端に使いすぎるということはないけど)。これからも仕事を頑張るんだから、欲しいものは買ってしまえと思うのだ。

日照時間の不足などが関係する「冬季うつ」

「冬季うつ」という、冬にうつ状態になる症状がおそらくわたしにはあるのだと思う。同じような浮き沈みの周期を繰り返して、4年目くらいになる。冬季うつは、日照時間の不足などが関係しているらしい。思えば学生のときから冬は布団から出られなかったし、寒いのが苦手だった。

冬なかなか起きられず、午前中に予定を入れることができないのに比べて、春から夏にかけては、だんだん起床時間が早くなっていく。ある夏の日、友達に「今日は4時に起きちゃったんだよね。いくらなんでも早すぎない?」と笑いながら話したら、「今日夏至だからじゃない?」と言われてびっくりしたことがある。日照時間が一番長く、一番早く陽がのぼる夏至の日、目覚ましもかけずに1年で一番早く起床した。

夏のわたしはこのことを「わたし太陽と共に生きているのかもしれない!」とか言って笑って話すのだが、冬のわたしは全然笑えない。自分の体調の波を客観的に捉えて言葉にすることはできるけど、実際のところ冬のわたしは「もうこのままずっとこうなんだ。人生おわりだ。意欲や興味はもう尽き果ててしまったし、もう何も頑張れないんだ」と信じている。

どちらもの実感を同時に持つことはできない。だから、夏のわたしは「今年の冬はもう大丈夫かもしれない。もう治ったのかもしれない。たぶんこのまま元気だ!」と本気で思っているし、冬のわたしは「このまま元気がないんだ」と本気で思っている。

こんなふうだから、どちらが本当のわたしなんだろうとわからなくなって、自分に翻弄されて不安になる。夏に楽しみにしていたことが、冬にはつらくなったりもする。

そうすると自分がすごく不確かな存在に感じられる。もちろんどちらも紛れもなくわたしなんだということは頭ではわかっているのだけど、どうしたって、調子がいいときの自分を基準に考えたいから、不調のときは「こんなはずじゃないのに」と思って悲しくなる。

今は冬の終わりの時期で、まだ少しぼんやりしている。目の前のことを1つずつちょっとずつやりながら、ゆっくり過ごすしかない。

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