「心理的安全性」の意味をはき違えている【ぬるま湯のような職場】が陥りがちな"典型的な悪循環"

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心理的安全性は、安心安全で、ぬくぬくとぬるま湯のようなチーム状態を意味するわけではありません。

高い目標を目指して切磋琢磨するなかで、適切に間違いを報告し、異なる意見があればリスクをとっても遠慮なく発信して議論のテーブルに乗せることで、より良いものが生まれたり、より良い活動ができるようになっていくことを意味します。

つまり持続的に学習する組織となっていくことができるのです。

失敗への過度な恐れが「生産性の低下」に

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「失敗しても、怒られたくないので隠蔽する」「どうせ達成できないので自分の発言は意味がないから言うのはやめておこう」「上司が怖いので余計なことは言わないで穏便に過ごそう」のように1人ひとりが保守に走り、情報が円滑に共有されない組織になっていくと、学習は停滞し、生産性は低下してしまいます。

リスクを取ってでも意見を伝えようとすること、ただ自分の保身ではなく、チームの達成や成長のために自分ができることをやろうという当事者意識が、チームの構成員1人ひとりのなかに構築されるところに、心理的安全性の価値があります。

そして、心理的安全性が高く、活発な議論や円滑な情報共有が行われるチームでは、その他にもさまざまな良い効果が生まれやすくなります。その1つがエンゲージメントの向上です。

補足ですが、心理的安全性は、ただやみくもに高めれば良いという性質のものでもありません。心理的安全性を誤解して「ヌルい職場」になるのはその典型です。心理学で扱う概念は、どうなれば絶対に良いといったことはないのです。

佐藤 映 臨床心理士、公認心理師

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さとう うつる / Utsuru Satoh

臨床心理士・公認心理師。株式会社リーディングマーク専門役員/組織心理研究所所長。

京都大学教育学部卒業、同大学大学院教育学研究科博士後期課程(指導認定退学)。修士(教育学)。京都文教大学特任講師、関西学院大学非常勤講師等を経て、2020年に株式会社リーディングマークに参画。2025年より現職。同社サービス「ミキワメ」シリーズの監修者で、立ち上げ期はカスタマーサクセスとして、人事と組織の支援に携わる。その後、コミュニケーション活性化によって休職離職を予防する「ミキワメウェルビーイングサーベイ」の開発、個性に合わせた1on1を支援する「ミキワメマネジメント」の監修などを担い、心理職としての実践に従事。専門は臨床心理学・組織心理学。日本心理臨床学会、日本キャリア・カウンセリング学会、産業・組織心理学会等に所属。人事に役立つ心理学の基礎知識を解説するセミナーシリーズ「人事のための心理学」に100回以上ライブ登壇し、人事の実務に活かせる心理学の理論や考え方を伝えている。

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