「心理的安全性」の意味をはき違えている【ぬるま湯のような職場】が陥りがちな"典型的な悪循環"
そんななか、特にここ20年ぐらいで流行してきた概念が、「エンゲージメント」や「心理的安全性」「ウェルビーイング」といった用語です。
ビジネスの領域で商業的に使われがちなこれらのワードについて、改めて心理学的な観点から理解を深めておきましょう。
2つの方向性がある「エンゲージメント」
実はエンゲージメントにも、学術的には大きく捉えて2つの方向性があります。
1つは、従業員の会社に対する帰属意識やコミットメントを表現する「従業員エンゲージメント」、もう1つは、従業員が仕事に対して高いやる気を感じて取り組んでいる状態を指す「ワーク・エンゲージメント」と定義されます。
経営や組織の仕事に関わるみなさんにとって、エンゲージメントといえば前者の「従業員エンゲージメント」を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実は学術的により明確な定義が共有されているのは、「ワーク・エンゲージメント」のほうです。
ワーク・エンゲージメントは、組織行動学者のシャウフェリらによって以下のように定義されています。
「ワーク・エンゲージメントは、仕事に関連するポジティブで充実した心理状態であり、活力、熱意、没頭によって特徴づけられる。エンゲージメントは、特定の対象、出来事、個人、行動などに向けられた一時的な状態ではなく、仕事に向けられた持続的かつ全般的な感情と認知である。」
ポイントは、「仕事に対するもの」であること、そして「やりがいを感じ(活力)、エネルギーを注ぎ(熱意)、集中できる(没頭)状態」が持続的であることです。目の前の仕事に対してコミットし続けられる状態といっても良いでしょう。
このワーク・エンゲージメントの概念を巡っては、提唱者のシャウフェリらを中心に2000年代からさまざまな研究が行なわれており、その中核には「仕事要求度ー資源モデル(Job Demand-Resource Model:JDRモデル)」と呼ばれる理論があります。
JDRモデルは、ワーク・エンゲージメントを促進する(その逆のバーンアウトを抑制する)先行要因についてさまざまに検討している一連の研究モデルです。これによれば、ワーク・エンゲージメントは次の3つの要素が関連しているとされています。


















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