肝臓などで作られるキヌレニンという物質は、脳に入るとうつのリスクを高めます。しかし、筋肉はこれをキヌレン酸という脳内に入れない物質に変えるのです。
Decorin、Interleukin-7のように、筋肥大を促すものもあります。これらは、筋トレをすると分泌されて、成長ホルモンなどと同じようにタンパク質を合成する働きを持ちます。さらに、サテライト細胞が筋細胞と融合するのを助ける働きもあります。
そのほかにも、骨のカルシウム蓄積を高めて骨形成を促すもの(IGF-1、Irisinなど)、血管や心臓を保護するもの(Aperin、Myonectinなど)など、さまざまです。
つまり、運動によって得られる健康効果のすべてにマイオカインが関係しているといっても過言ではありません。
1つのマイオカインが複数の働きを持つとともに、実際には複数のマイオカインが複合的に作用します。いわば合わせ技で健康効果に貢献しているのです。
運動不足で「悪玉マイオカイン」
一方、運動不足の筋肉や老化した筋肉からは、筋肉自身を萎縮させたり、骨を弱くしたりする悪玉マイオカインが出てきます。なかでも、マイオスタチン(Myostatin)は有名な悪玉マイオカインです。
運動をしないと、少しずつマイオスタチンの分泌が多くなり、筋肉のタンパク質を壊していきます。また、これが骨に作用すると、骨の分解を高めて、骨を弱らせることも知られています。
そのため、運動不足の生活を続けていると、善玉マイオカインの恩恵を受けられないどころか、悪玉のマイオカインが出ることによって、健康障害につながる情報が体内をかけめぐるのです。
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