サイトカインはさまざまな臓器から分泌されますが、医学ではホルモンと明確な区別はなく、広くホルモンに含められることも多くあります。
また、ホルモンは血液の流れに乗って遠隔の細胞に作用しますが、サイトカインは分泌した細胞自身や近隣の細胞に作用するなど近くで働くことも多いのが特徴です。
筋肉から分泌される物質
マイオカインは、2003年にデンマークの運動免疫学者Bente Pedersen 博士らによって名づけられました。それまでも、運動をするとInterleukin-6が血液中に増加することが知られていましたが、これを分泌する臓器が骨格筋と特定されたのです。
今でこそ多くのマイオカインの存在が知られていますが、Interleukin-6は最初に同定されたマイオカインということもあり、多くの研究が進んでいます。
その働きは多岐にわたり、例えば肝臓に作用すると、貯蔵されているグリコーゲンをブドウ糖に分解して血糖値を高めます。また脂肪組織に作用すると、貯蔵脂肪を分解し、血液中に放出します。それら血液中の糖や脂肪の多くは、筋肉でエネルギー源として利用されます。
Interleukin-6の分泌は、運動時間が長くなり、筋肉内のエネルギー源であるグリコーゲンが枯渇するほど増加します。
つまり、筋肉は自らのエネルギーを得るため、Interleukin-6を分泌して肝臓や脂肪組織に情報を送っているといえるでしょう。まさに、ホルモンとしての働きです。
副腎のホルモン=コルチゾールなどは、絶食や運動など理由を問わず血糖値が低下すると分泌されますが、マイオカインInterleukin-6は筋収縮によって筋肉から分泌されるのが特徴です。
2003年以降、毎年のように新しいマイオカインが発見され、現在では50個以上が報告されています。当初はサイトカイン=タンパク質に限定されるものでしたが、これに限らず、乳酸のような代謝産物や、RNAのような核酸など、筋肉から分泌されるものはすべてマイオカインであるという考えが主流になってきました。
また、微小物質の重さを正確に測定する分析法が発展し、わずかな重ささえ感知できれば物質の存在を検出できるようになりました。
このことにより、名前もわからない物質が筋肉から数多く分泌されることがわかってきました。そのような物質を含めると、600個以上のマイオカインが存在するともいわれています。


















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