例えば、甘いものを食べると血糖値が上がります。すると、これに応答して膵臓からインスリンが血液中に分泌されます。このインスリンが筋肉に作用すると、血液中の糖が筋肉内に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。その結果、血糖値が下がるのです。
逆に、空腹状態が続いたり、マラソンのような長時間の運動を行うと血糖値が低下します。すると、副腎からコルチゾールというホルモンが分泌します。コルチゾールが肝臓に作用すると、貯蔵されているグリコーゲンがブドウ糖に分解され、血液中に放出されます。その結果、極端な血糖値の低下を免れることができます。
また、筋トレをすると脳の脳下垂体前葉から成長ホルモンが分泌され、これが筋肉に作用してタンパク質の合成が高まり、筋肉づくりを後押しします。
このように、ホルモンは体質や体内の状態に応じて分泌され、健康を保つ重要な働きをしています。いわば鍵のようなもので、血液の流れに乗って、遠いところにある鍵穴を探します。そして、そのホルモン専用の鍵穴を持っている特定の細胞にたどり着くとその情報を伝え、次の展開の扉を開けます。
広義のホルモン・サイトカイン
元来、ホルモンは脳や生殖器、副腎など限られた場所から分泌されるものと思われてきました。しかし、さまざまな臓器からホルモンに似たタンパク質が分泌されることがわかってきました。
このタンパク質のことをサイトカインといいます。
サイトカインも細胞から分泌され、別の細胞に作用して情報を伝達します。その数は800種類以上もあるといわれ、例えばInterleukinやTumor necrosis factorが有名です。
サイトカインは、ホルモンを分泌する脳や副腎、生殖器のような古くから知られる分泌臓器だけではなく、白血球や血管、内臓、脂肪、筋肉など、さまざまな細胞から分泌されます。
例えば、脂肪細胞(Adipocyte)から分泌されるサイトカインをアディポカイン、肝細胞(Hepatocyte)から分泌されるサイトカインをヘパトカイン、そして筋細胞(Myocyte)からのものをマイオカインと呼ぶようになったのです。


















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