"有能なファシリテーター"は誰でもなれる! 会議や議論を驚くほど円滑に進めるための「簡単な方法」

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誰だって最初は初心者ですから、本質観取のファシリテーターの経験は、少人数のグループから始めるのがちょうどいいのではないかと思います。 慣れた人が全体ファシリテーターをしてくれれば、その進行に乗ってある程度スムーズに進めることもできるはずです。

別言すれば、大人数で本質観取をやる場合は、全体ファシリテーターの役割がとりわけ重要になってくるということです。

「場を信頼する」ほうがうまくいく

もう1点、大事なことがあります。ファシリテーターは、どうしても「いい対話の場をつくらなきゃ」「ちゃんと言葉を完成させなきゃ」といったプレッシャーを感じてしまいがちです。

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でも、「自分が何とかしなきゃ」と気負いすぎると、ついついその場を過度にコントロールしてしまって、参加者のポテンシャルが発揮できなくなってしまう傾向があります。

私たちの経験では、むしろ思い切って「場を信頼する」ほうが、本質観取の対話は圧倒的にうまくいくものです。

沈黙が続いても、しばらく待っていれば、誰かがポツリと本質的な言葉をその場に置いてくれることがあります。ファシリテーターが気づかなかったような観点が、突然誰かから示されることも多々あります(と言うよりそれがつねです)。

本質観取のあいだ、参加者のみんなの頭はフル回転しています。だからファシリテーターは、自分1人で何とかしようとは思わずに、思い切って「場を信頼する」「場に任せる」余裕を持つようにしたいと思います。

もちろん、言うは易しです。それに、そんな余裕は、ある程度の経験を積んで初めて持てるようになるものかもしれません。

でも、このことを知っているのと知らないのとでは、その場の活性度はきっと大きく違ってくるはずです。ファシリテーターに挑戦する際には、ぜひ、「場を信頼する」ことの大事さを覚えておいていただければと思います。

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苫野 一徳 熊本大学大学院准教授/哲学者・教育学者

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とまの いっとく / Ittoku Tomano

1980年生まれ。熊本大学大学院教育学研究科准教授。博士(教育学)。早稲田大学教育学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程修了。専攻は哲学・教育学。経済産業省「産業構造審議会」委員、熊本市教育委員のほか、全国の多くの自治体・学校等のアドバイザーを歴任。著書に『学問としての教育学』(日本評論社)、『「自由」はいかに可能か』(NHK出版)、『どのような教育が「よい」教育か』(講談社選書メチエ)、『勉強するのは何のため?』(日本評論社)、『はじめての哲学的思考』(ちくまプリマ―新書)、『「学校」をつくり直す』(河出新書)、『教育の力』(講談社現代新書)、『子どもの頃から哲学者』(大和書房)など多数。

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岩内 章太郎 豊橋技術科学大学准教授

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いわうち・しょうたろう / Shotaro Iwauchi

豊橋技術科学大学准教授。著書に『新しい哲学の教科書 現代実在論入門』『〈私〉を取り戻す哲学』(ともに講談社)など。

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稲垣 みどり 順天堂大学国際学部准教授

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いながき・みどり / Midori Inagaki

順天堂大学国際学部准教授。著書に『共生社会のためのことばの教育 自由・幸福・対話・市民性』(明石書店)など。

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