"有能なファシリテーター"は誰でもなれる! 会議や議論を驚くほど円滑に進めるための「簡単な方法」

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こういった言葉を、ファシリテーターが率先して発することで、参加者は安心して対話に参加することができるようになるでしょう。他の参加者も、同様のあいづちを気兼ねなく打つことができますから、対話の場全体が活気づくはずです。

人数の工夫をしてみよう

対話の人数は、経験的には6人から12人くらいがちょうどいいように感じています。6人より少ないと、思考の多様性が乏しくなり、12人を超えると、対話にあまり参加できない人が出てしまいやすくなるからです。

ただ、目的と状況によって、人数の工夫はいかようにもできます。

たとえば、苫野の著書『親子で哲学対話』は、文字通り親子2人で行った本質観取の記録です。その目的は、とにかく本質観取を楽しむことと、「本質を考える」練習をすること。この目的からすれば、2人だけでも十分です。親子2人なので、寝る前などの10分、15分だけでも気軽にやることができます。

他方、たとえば学級の場合だと、30人以上で行うこともあるでしょう。市民向けのワークショップなどでは、50人以上になることもしばしばです(これまでに筆者たちが経験した最大人数は350人でした)。

そのような大人数の場合は、小グループでの対話と、全員での対話を組み合わせて行うのがおすすめです。全体の時間では、グループだけでは気づかなかった視点がたくさん見えてくるはずです。

ただ、人数が30人を超えると、参加者みんなで一つの本質定義をつくるのは少しむずかしくなります。その場合は、それぞれの小グループでできるだけ納得のいく言葉を紡ぎ合う、というところまででもかまいません。あとはそれぞれが「書く」ことで、自分の考えをまとめていくことにしてもいいでしょう。

あるいは、全体で本質を言葉にして編んでいく場合も、とりあえずいくつか、「これを欠いてはもうその概念とは言えない」という不可欠なキーワードを決定するところまででよしとする、というのも一手です。この不可欠なキーワードのことを、ここでは「本質契機」と呼びたいと思います。

たとえば、本書のなかで、「いいケアとは、“その人”の自覚的・無自覚的な願いを想像したかかわりである」という本質定義を見ましたが、このような文章にしなくとも、「“その人”性」や「自覚的・無自覚的な願い」といった、いくつかの本質契機を見つけ出せればOKとするのです。

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