男友達に「飲も!」と誘われて居酒屋に行くと…。大学生"ほのか"が、「ああ、自分は『女の子』なんだ」と感じる瞬間

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りょうとは一切目を合わせずにさっさとテーブルを後にした。

外に出て、めいっぱい深呼吸をした。あの場で吸った空気を全部出し切ってしまいたかった。別に怒ってはいない。でも、りょうがこういうことをする人だなんて思ってなかった。

ろくにつまみも食べず早めに切り上げてきたから、近くのチェーンの牛丼屋でいつもは頼まない大盛りの牛丼を注文した。席について番号が呼ばれるのをぼうっと待つ数分間、どうしてもさっきのことが頭から離れなかった。

あいつ、「友達の前で女の子を呼べた」とかいうマウントをとりたいようなやつだったの? しかもそのしょうもないプライドのために私を使ったの? もう縁切ってやろうかな。女の子を呼べた自分はすごい! みたいな自慢をしたあげく、周りも、りょう意外とやるやん! みたいに盛り上がってて。バカみたい。あんな男友達に影響されて、もしかしたらめちゃくちゃガキだったのかも。結局、今までの友情も全部、女と仲良くできてラッキー、くらいだったの?

考えれば考えるほどイライラしてきた。その辺の男子と一緒じゃん。

私は牛丼をかきこんで一息ついてから店を後にした。いつもの高円寺行きの中央線に乗りこみ、イヤホンをすると好きなバンドの新曲を爆音で流した。

正直な気持ちを伝えてみたけれど…

月曜日、大学の食堂でりょうを見つけた。携帯を見ながらのうのうとカレーを食べる彼に虫唾が走り、私は見なかったふりをしようと食券を買いに行った。

でもその瞬間、思っていたことを伝えてみようかな、と思っちゃったんだよね。普段は多少嫌なことがあっても封じ込めるタイプだけど、りょうは大事な人だったから。自分の気持ち、正直に伝えてみようかな。彼になら怒ってるって言ってもいいかなって。

「こないだのあれ、なんだったの? 次、女枠で呼んだらもう一生友達の縁切るから」

私は彼の前の席に座って言い放った。

「ああ、飲み会? え、ごめん。嫌だった?」

「え、わかんないの? 友達として大事にしてくれないんだったら、私もあなたのこと大事にしないから」

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