──こいつはあなたの心を殺したのです。故意に生命を侵害したのだから、こっちだって故意に生命を侵害していいはずです。あなたは幸いにも、首吊りも飛び降りも踏みとどまりました。でもそこで踏みとどまれなかった子供も事実としてたくさんいます。可能性に満ち溢れているはずの少年少女が、最終的には選択肢が一つだけになってしまうのです。暴力によって、無視によって、言葉によって。
──あ、勘違いしないでくださいね。わたくしは正義のヒーローでもなんでもありません。道徳の教師でもなんでもありません。むしろ正義も道徳もクソくらえです。わたくしはコミュ症で陰キャでクラスではみんなからハブられていた、通信部のジョン・万次郎です。
タイソン二世が殺人に向かう先は
──そんなわけで今回の案件は、非常に非情で異常に危険な我ら子供部屋同盟・実務部のこどおじの星、元傭兵のタイソン二世が適任かと思われます。いつかの案件で彼は工作部の三四郎君製作による秘密道具に麻酔バレットを装填して使用しましたが、そんなまどろっこしい代物じゃなく、もっと直接的で単純明快なイケナイバレットもありましてね。こちらを用いれば、確実にこの女をぶっ殺すことができるでしょう。
──執行は七月十日の日没後、その様子は子供テレビにてライヴ配信するので、ぜひとも木村さんもご視聴ください。
──では、執行日をお楽しみに。
*
奈央はレポートを送信する直前に、テキストファイルを改ざんした。
楠木奈央と木村明美という氏名をすべて入れ替え、個人情報もすべて入れ替えた。つまりタイソン二世が殺人に向かう先は、楠木奈央、わたしだ。
それで二つの選択肢の、片方は達成される。
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