外国にルーツを持ち、厳しい状況に置かれている子どもたちを支援する「Minamiこども教室」(大阪市中央区)の様子を追った、ジャーナリスト・玉置太郎氏の著書『移民の子どもの隣に座る 大阪・ミナミの「教室」から』より一部を抜粋し、3回にわたってお届けしています。本稿は2回目です(【前編】はこちら)
高2の春に一変した生活
中学校では生徒会の役員にもなった。1年生の秋、初めて生徒会選挙に立候補する際、教室で演説原稿を書いているメイを見たスタッフが、終わりの会にみんなの前で読み上げることを提案した。
メイは「ええぇ」と渋りながらも、半ばうれしそうに承諾した。そして終わりの会の冒頭、少し硬い表情でみんなの前に立った。
「私は、明るくてみんな仲のいい、思いやりのある学校になったらいいなと思いました。みんなが明るかったら何事にも挑戦できるし、みんなの仲が良かったら1つのことにみんなで取り組めるし、思いやりがあればお互いに支え合えると私は思います。そんな学校になるように、私も一生懸命がんばりたいと思います」
そう演説を締めくくると、子どもとスタッフみんなが拍手と歓声を送った。
堅調だったメイの生活。それが、高校2年の春に一変した。
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