ほぼ全上院議員が汚職に関与?フィリピンの現実/上下院議長・主要閣僚が辞任・解任でマルコス政権は存続の危機

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11月24日、フィリピンのマニラ首都圏ケソン市で、逮捕された公共事業道路省(DPWH)職員8人のうち数人が警察に護送された(写真:EPA=時事)

フィリピンの政治経済が機能不全の泥沼にはまっている。

相次ぐ台風や洪水被害に無策の政府を自己批判したマルコス大統領の演説を機に、公共事業をめぐる汚職疑惑が燎原の火のように広がり、上下院議長が辞任に追い込まれ、官房長官ら主要閣僚が相次いで更迭された。

予算の審議も執行もままならず、経済成長率や株価も大きく下げるなか、不正への抗議集会やデモが拡大して一部では暴徒化、退役軍人の一部はクーデターを呼びかけている。疑惑は大統領自身にも跳ね返り、政権の存続さえ不透明な状況に陥っている。安全保障面を中心に関係強化を図ってきた日本政府にとっても無関心ではいられない事態だ。

大統領が自ら開けた「パンドラの箱」

2025年7月28日、就任以来4回目の施政方針演説に臨むマルコス氏は追い詰められていた。22年に就任し、任期6年の折り返しを迎えた5月の中間選挙で、対立するサラ・ドゥテルテ副大統領派が想定外の躍進を遂げたうえ、7月に入り各地を襲った豪雨で大きな被害が出ていた。長年にわたり巨額を費やしてきた洪水対策が目に見える成果をあげていない状況に批判が強まっていた。

大統領は演説で、公共事業を食い物にしている業者や賄賂を受け取っている政府関係者、議員らを念頭に「恥を知れ」と声を張り上げた。そして公共事業道路省に過去3年の洪水対策事業の進捗状況を精査させ、公表することを宣言した。

大見得を切った大統領だが、これがパンドラの箱を開ける結果となった。

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