ドミトリーの上段のポッドにはカプセルホテルにありがちなはしごではなく専用の階段がついているため、出入りしやすかった。荷物を収納する場所が広く、ドミトリーとしては破格の居住性の高さだった。
中高年でも「浮かない」
ビジネスクラスに安宿のドミトリーという組み合わせは一見落差が大きく見えるが、フルフラットのシートとドミトリーのポッドは寝心地に大きな差はない。海外のホステルには中高年の旅行者がたくさんいるので、浮くこともない。
トルコのイスタンブールでは、日本人御用達のホステルを避けて、多国籍の旅行者のレビューがよかったホステルに宿泊した。レセプションでリビア人とインド人の男性に「日本?遠くから来たね」と握手を求められ、エレベーターの中で前日に知り合った20代のフランス人男性に、「連れが付き合ってくれないから、一緒に遊んでくれないか」と誘われた。
「こんなおばちゃんに声掛けて、旅行版ロマンス詐欺か」「フランス人って熟女が好きなんだっけ」と訝(いぶか)しく思いつつ、結局最上階で一緒に降りて、ビリヤードとピンポンを足して2で割ったような不思議なゲームをした。
途中で遊びに入ってきた中国人とはインスタのアカウントを相互フォローして、交流を続けている。
ドミトリーは女性専用の6人部屋。筆者より年上の白人女性は毎晩22時ごろ長電話をしているし、後からチェックインしたドイツ人と意気投合して深夜まで井戸端会議状態だし、「相部屋なんだから他の客に配慮してよ」といらっとしていたら、チェックアウトの日に話しかけられた。
彼女はイギリス在住のポーランド人で、インプラント治療のためにトルコに滞在しているとのことだった。トルコは美容医療大国で、欧州から来る人が多いという。
留守番している22歳と18歳の子どもと毎晩電話していると聞いて、長電話の相手が判明した。
筆者が「これからインドに行く」と告げると「え~大丈夫?」と心配され、「その次はタイ」と言うと、「え~大丈夫?」と同じ反応をされた。日本人から見るとタイとインドはだいぶ違うが、彼女にとっては同じくらい心配な国らしい。
お互いのことを話すうちに前日までのイライラもどっかに行って、最後は抱擁して別れた。
仕事をしながら旅をしていたので、落ち着いて作業ができる宿を選ぶことが多かったが、宿泊客の距離が近く、朝ごはんを食べながら同じテーブルについた人たちと人生や体験をシェアするホステルも、それはそれで面白かった。
私たちは、美しい景色やおいしい料理だけではなく、ドラマを求めて旅に出る。
ホステルにはドラマがある。そしてコロナ禍を経て、安宿にありがちな衛生や安全の問題も大きく改善されていた。恐れず、訪ねてほしい。
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