データセンター投資が膨張し続ける理由。巨額資金を吸い込むAIスタートアップの収益構造とは

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が、(前述のように)エヌビディアやグーグル、アマゾンなどAI関連企業が今やS&P500全体の時価総額の約3割を占めるなど、現在の株式市場を左右しているのはAI銘柄だ。仮にこれらの銘柄が急落すれば、それが市場全体に波及してクラッシュ(バブル崩壊)を引き起こす可能性が高いと見る専門家もいる。

AIバブルはドットコム・バブルよりも大型

いずれにせよ、ここに来て変調をきたした最近のAIブーム(バブル)を過去の歴史的ケースとダブらせて見る向きは日増しに強まっている。たとえば1990年代後半のインターネット(IT)・ブームである(当時はドットコム・バブルとも呼ばれた)。

確かに当時もワールドコムなどの大手通信会社が全米にインターネット用の光ファイバー網を敷設するなどインフラ投資が進んだが、実際にはインターネット需要は期待したほど伸びず、やがてそれが過剰投資化(設備が遊休化)して00年前後からITバブルへの不安が広がった。

そこから連鎖反応的に、いわゆるドットコム企業と呼ばれた「利益を出していない多数のITスタートアップ」の株価が暴落し、彼らが次々と倒産。ワールドコムも大規模な不正会計処理が発覚して破綻するなどして、ドットコム・バブルは崩壊したのである(グーグルやアマゾンなど一部の強者だけが生き残って、その後の世界を変えた)。

今回のAIブームも当時と図式が似ていることから、今後仮にバブルが弾ければ、多くのAIスタートアップや中規模のAI企業などが破綻に追い込まれる可能性がある。しかも今回のAIブームでは、90年代のインターネット・ブーム時よりも何倍も巨額の投資が為されている。

アメリカのIT系調査会社ガートナーによれば、25年におけるAI関連の投資額は世界全体で約1兆5000億ドル(約235兆円)に達するが、これはインターネット・ブーム最盛期の99年におけるIT関連の投資額(を現在の物価に換算した)3600億ドル(約56兆円)の4倍以上に当たる。

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