データセンター投資が膨張し続ける理由。巨額資金を吸い込むAIスタートアップの収益構造とは
その象徴が今年1月、ホワイトハウスでトランプ大統領と共に発表された(OpenAI、ソフトバンクグループ、オラクルの3社による)スターゲイト計画だ。このプロジェクトでは最大5000億ドル(約78兆円)の資金を投じて、全米各地に何十万個という膨大な数のGPU(AI半導体)を内蔵する巨大データセンターを次々建設していくという。
中でもOpenAIのサム・アルトマンCEOは今後、実に1兆4000億ドル(約220兆円)を投じて独自の半導体開発や自社専用のデータセンターなどAIインフラを整備していく決意を述べている。これら途方もない野望や将来性が高く評価され、(これまで利益を一度も出したことのない)同社の時価総額(企業価値)は約5000億ドル(約78兆円)に達した。
このOpenAIと競合するアンソロピック(Anthropic)、さらにはイーロン・マスク氏が設立したxAIなど主なAIスタートアップ各社も、(同じく巨額のインフラ投資などから毎年赤字を計上しつつも)約1830億ドル(約28兆円)、あるいは約2000億ドル(約31兆円)もの時価総額に達している。
これらのスタートアップと競うように、グーグル、アマゾン、マイクロソフト、さらにはメタなど「ビッグテック(ハイパースケーラー)」も、AIインフラの整備に惜しみなく資金を注いでいる。これら4社だけで巨大データセンターの建設などに投じた資金総額は今年通年で約3800億ドル(約60兆円)に達し、来年はさらなる増額を見込んでいる。
マイクロソフトやアマゾンなどビッグテック各社はこれらデータセンターなどの計算資源をクラウド・サービスとして(有料で)提供し、それを使ってOpenAIやアンソロピックなどAIスタートアップ各社がチャットボットなどの生成AI製品を開発している。
もちろんAIスタートアップも自前のデータセンターを建設するなど莫大な設備投資を進めているが、現時点ではビッグテックなどが提供するクラウド・サービス(として利用されるデータセンター)を使うケースが多い。
投資銀行モルガン・スタンレーによれば、これらアメリカ勢を中心に世界でデータセンター建設に投じられる資金総額は2028年までに約3兆ドル(約470兆円)に達する見通しという。
またコンサルティング会社マッキンゼーによれば、今のペースでいけばデータセンターの建設に費やされる資金総額は30年までに約7兆ドル(約1100兆円)まで膨れ上がるという。これは日本やドイツの年間GDPを優に上回る途方もない額である。
最後にツケが回ってくるのは?
問題はこれらの天文学的な投資が(AI業界全体を通じて)いずれ無事に回収され、それに見合うだけの十分な利益が生み出されるのか、という点だ。



















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