「心のうねりはあったけど、照之の人生」 90歳の浜木綿子さんが語る…シングルマザーとして育てた《息子・香川照之》の驚く決断を受け入れたワケ
猿翁とは別離以来、40数年ぶりの再会であった。
「全部、照之の計画だったと思います」と浜。
照之は「2人を会わせようという気がありました。母が来ることを知った父は付き人に『誕生日プレゼントを買って来い』と命じて用意していたので、それを母に手渡していました。父が『相変わらず綺麗だね』と母に言い、周りを何も事情がわからない團子がワーッといいながら走り回っている不思議な光景でしたね」と振り返った。
團子にも聞いてみた。
「ばあば(浜)が稽古場に来たのは覚えています。じいじ(猿翁)とばあばがいるな、というくらいで、2人の久々の再会だということは全くわかっていませんでした」
浜は帰りの車の中で「誕生日プレゼント」を覗いてみた。
「10月の誕生石のオパールのネックレスでした。手紙が入っていて、ちょっとよろよろした字で『政彦』と書いてありました。政彦さんという名前だったんだなと思い出しました」
それから照之の真意を推理した。
「何ともいえない気持ちでした。高揚感もあったし、今更という思いもありました。後で照之には、『これは神の力、天の啓示だよ。会えて良かったね』と言われました。その後、猿翁さんとお食事をする機会もありましたが、何も感じませんでしたね」
今だからこそ言えること、言いたいこともある
離婚時の辛さを照之に話したいと思うことがある。別れてから一切、猿翁をあげつらうような言葉は口にしなかった浜には、今だからこそ言えること、言いたいこともある。
「でも『聞いて』と言っても、照之は『いいよ、いいよ』というだけで耳を貸そうとしないんですよ。猿翁さんのことを、とても尊敬しているからでしょう」
猿翁は2023年9月13日に83歳で世を去った。
「教えを受けた方たちにとって大きな損失でしたでしょう。たとえお話ができなくても、身振り手振りで『もっと大きく』などと演技指導をされていましたから、いらっしゃるだけでも違ったでしょう。ですが照之も見送ることができて良かったと思います」



















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