「思い通りになんてならないし、しようとしても、たぶんあまり幸せな関係にはならないんじゃないかな」
のんびりとおおらかなカマタさんの印象は、どこかキクノスケくんと似ているように思えた。
ヨウムの魅力は、やっぱり「おしゃべり」
ヨウムを飼ったなら、やっぱり何かしゃべってほしい。カマタさんは考えた。せっかくなら、自分の言葉をオウム返しするだけでなく、言葉の意味や使うシチュエーションまで理解してほしい。
『アレックスと私』では、アイリーン博士は以下のような方法で、アレックスとのコミュニケーションを構築している。
Bはアレックスにとって正しい行動を示す「モデル」となると同時に、アレックスのライバルにもなる。これが、「モデル/ライバル法」だ。
しかし、カマタさんはこれを一人で実践しなければならない。そこで考案したのが、「アタマ、タッチ法」だった。
キクノスケくんの頭を軽くつつくと同時に、「頭、タッチ」と言う。クチバシを触って「クチバシ、タッチ」、お腹を触って「お腹、タッチ」。キクノスケくん自身の感覚と組み合わせて、言葉を覚えてもらおうとする作戦だった。
そしてお迎えしてから半年ほど経った2016年夏、ついにキクノスケくんは、自分の足で頭をタッチしながら、叫んだ。



















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