資源、為替、金利…総合商社の序列に「異変」、勝ち抜くのはどこか。株式市場からは低評価が続く

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『商社 大異変』特集バナー
ウクライナ危機後の資源価格高騰は商社の業績を一気に押し上げた。が、ここに来て資源市況や為替、金利の激変が商社の経営に異変を引き起こしている。「勝ち筋」を見つけ、戦い抜くのはどの商社か。『週刊東洋経済』11月22日・29日合併号の特集は「商社 大異変」だ。
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「期初に立てた通期計画見通しは達成できる。上振れするようにしたい」

三菱商事の中西勝也社長は11月4日の決算会見でそう述べた。

三菱商事の今期純利益見通しは7000億円。ピークだった2023年度の1兆1807億円からは4割後退、前期比でも26%の減益だ。オーストラリアの原料炭炭鉱売却益やローソンの再評価益などの一過性利益が剥落し、原料炭や鉄鉱石の市況悪化も響く。

8月には前期524億円の減損を計上した国内洋上風力発電事業からの撤退を発表し、その要因として歴史的なインフレ、金利上昇、為替の激変などを挙げた。撤退劇は、事業環境がビジネスの根幹を揺るがすことを改めて印象づけた。

稼ぎ方に個性が際立つ

一方、伊藤忠商事はデサントやデジタル事業、ファミリーマートなどが好調で25年度純利益は9000億円と、5年ぶりの商社トップに返り咲く見通しだ。5大商社では好調な資源市況に乗って1兆円規模の純利益をたたき出した三菱商事や三井物産の快進撃にストップがかかり、非資源に強い伊藤忠など3社は今期も増益が続く。

ただ三菱、三井は資源・エネルギーへの投資を緩めない。三井物産は8000億円を投じてオーストラリアの鉄鉱石権益を取得、三菱商事はLNG(液化天然ガス)事業の拡張、米シェールガス開発企業の1兆円規模の買収を検討する。

三菱商事のLNGの持ち分生産量は24年実績で1300万トンと、英オイルメジャー・シェルの3分の1、米エクソンモービルの半分ほど。鉄鉱石では三井物産が同6200万トンで世界最大手の英豪リオティントの約5分の1と、世界でそれなりの存在感を持つ。資源系商社といわれるゆえんだ。一方、住友商事は8800億円で、システムインテグレーターのSCSKを完全子会社化すると発表し業界内外を驚かせた。

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