資源、為替、金利…総合商社の序列に「異変」、勝ち抜くのはどこか。株式市場からは低評価が続く

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ここに来て各社は投資資金を得意分野に集中させ、稼ぎ方に個性が際立ってきている。

こうした商社の動きに目をつけたのが、米投資会社のバークシャー・ハサウェイを率いるウォーレン・バフェット氏だった。

バークシャーは19年から5大商社すべての株式を買い増ししている。今年10月、三菱商事や三井物産の保有株式比率は10%を超えた。

バフェット氏の投資姿勢に詳しい楽天証券の窪田真之チーフ・ストラテジストは、「5社には特色があり、それぞれの目利き力を発揮して、ダメなら撤退するプロセスを踏んでいる。その巧拙が株価のバリュエーションに出ているが、安いなりのよさもある。自分がファンドマネジャーだった頃も、考えに考え抜いた末、5社全部に投資した。バフェット氏も同様に考えたと思う」と話す。

市場からは低評価

だが、そもそも数ある世界の企業の中で、バフェット氏はなぜ、総合商社に注目するのだろうか。

9月。都内で開かれた丸紅のIRイベントで、大本晶之社長は目標とする「卓越企業群」を4社列挙した。日立製作所、アメリカのダナハー、バークシャー・ハサウェイ、KKRがそれだ。これらの企業を手本として、総合商社の枠を超える「価値創造企業グループ」への脱皮を図るという。

大本氏の例示した比較指標はROA(総資産利益率)とPER(株価収益率)だった。総資本からどれだけ効率よく利益を上げているかを示すROAは、ほとんどの企業が5%程度だ。効率よく稼ぐ力では、総合商社も卓越企業群と互角に渡り合っている。

しかし、株式市場からの評価を示すPERには大きな差がある。最も低い住友商事は9倍、ほかの総合商社も軒並み10倍台にとどまる。一方、卓越企業群のPERは20倍を超えている。大本氏は、「PERをまずは15倍、20倍と順々にしっかりと伸ばしていく」とIRイベントで述べている。卓越企業群の背中はまだ遠い。

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