資源、為替、金利…総合商社の序列に「異変」、勝ち抜くのはどこか。株式市場からは低評価が続く
総合商社の市場からの評価が低いのは、将来の利益成長の余地が乏しいとみられているからだが、商社には「事業内容がわかりにくいという見方も多いのだろう」(三井物産の重田哲也CFO)という声がある。
コンビニやスーパーなど消費生活ビジネスから、世界の資源事業まで、商社のビジネスは幅広い。その積み上げの結果、1つの事業が不調でも、ほかの事業で取り返すことができる。それが商社の最大の強みだが、一方で事業間の相乗効果がわかりにくく、「コングロマリットディスカウント」(複合企業が市場から低く評価される傾向)がついて回る。
そんな中、総合商社の「割安放置」に注目したのが、バフェット氏だった。前出の窪田氏は「業種のバランスを考えた事業ポートフォリオ、明確な撤退方針など、総合商社の投資の考え方はバークシャーと非常に似ている。『ビジネスモデルがわかりにくい企業の株は買わない』と言うバフェット氏だが、商社株が『わかりやすい』のは当然だ」と話す。
「プレミアム」として説明できるか
カギは事業間のシナジーを「コングロマリットプレミアム」として説明できるかだ。
例えば低炭素アンモニアの開発事業では、エネルギーや化学品、インフラの各部門が事業に関わり、輸送や供給先の開拓には機械部門も関与する。資源・非資源のビジネスが融合して事業の付加価値が高まっていく。が、ビジネスがより複雑化することで、「プレミアム」の説明はますます困難になるジレンマもある。
バフェット効果でコングロマリットディスカウントは多少和らいだが、「PERが40倍程度にならなければコングロマリットプレミアムとはいえない。まだディープバリュー株が普通のバリュー株になった程度だ」(窪田氏)。
総合商社と投資事業を多角化させる投資ファンドとの類似性もよく指摘されるが、そもそもファンドは投資家の資金を運用するのがなりわいで、コングロマリット(複合企業体)ではない。重田氏は、「ファンドは投資先のいいところだけを残してキャッシュインとアウトの差を最大化する。われわれは投資先の経営に参画して人も金も口も出す。パートナーと一緒に事業の成長を図る」と話す。コングロマリットのメリットを生かしながら、株価のディスカウントを解消するという難題が商社には問われ続けている。



















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