AIは社会の何を変えてしまうのか?→「知力」の拡張が勝負になる時代に知っておくべき、AIで変わる「6つの知力」

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④会話力(Communicate)

AIの「会話力」は、対象の意志を汲み取り、言語の違いや空間を飛び越えるコミュニケーションを可能にしている。これは、AIエージェントの登場により、AI同士が自律的に経済取引を行う未来を予見させる。

この力は発達障害児の療育不足にも貢献している。ルクセンブルク大学では「QTrobot」というAIを活用し、発達障害児にとって習得の難しい表情やボディランゲージを獲得するための「相互コミュニケーション」を実践している

⑤構造化力(Model)

AIの「構造化力」は、人間の「活動」や蓄積された「知」「経験」を構造化することができる力だ。この力のおかげで人間の業務の一部をAIに代替することができる。

セールスフォース社が提供するAgentforceでは、人間が従来行っていたタスクを切り出して構造化し、組み合わせることで、ユーザーが多彩なAIエージェントを容易に構築できるようになっている

⑥創造力(Create)

AIの「創造力」は、膨大なインプットデータを整理・組み合わせることで、人間だけでは制作が困難な新しい「知」を生み出す力だ。とにかく今までにないアウトプットが望めるようになる。

NASAは衛星搭載機器の設計の一部に生成AIを活用したことで、人間のエンジニアでは生み出すことのできなかった、既成概念を持たない優れた幾何学的な形状を生み出すことに成功した

AIを「ツール」で終わらせない

この6つの知力の拡張は、AIがもたらす変化が、単なる「効率化」ではなく、「知的なインフラ」の再構築であることを示している

AIの性能向上はこれからも止まらない。そして知力の拡張は、そのまま競争優位性の格差に直結する。

この事実を直視しつつ、活用のためのメリットやリスクも把握したうえで活用することがこれからの社会に求められていくだろう

森 健 野村総合研究所 未来創発センター 未来社会・経済研究室室長

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もり たけし / Takeshi Mori

専門はデジタル・エコノミー、グローバル経営。共著書に『デジタル資本主義』(2019年度大川出版賞)、『2010年のアジア』、『2015年の日本』(いずれも東洋経済新報社)など。

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